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"19歳で相続した呪われた屋敷" 第1話

もしも、あなたので唯残された族の形見が、曰く付きの古びた敷だったとしたらどうするだろうか。

の誰もが、夜には決してを踏み入れようとしない所。

里先まで馬も寄りつかないと噂される、荒れ果てた林と古い。

世らずの19歳の娘が、たったつの署名と引き換えに相続したのは、名もなき呪われた隠れだった。

誰もが彼女のく末を案じ、の者たちは、彼女はすぐに逃げすだろうとを叩いた。

しかし、その朽ち果てた板の底に眠る秘密と、彼女の血筋が隠し続けてきた真実は、このの歴史の全てを塗り替えることになる。

が、頂のを渡っていた。

たいは、古びた染の套の裾を容赦なく揺らしている。

馬の御者は、の入りから里の叉で、く綱を引き締めた。

男は、張った顔で周囲を見回した。

これ以は歩もまないと、彼は頑なに首を横に振った。

「川宿の方へはかない」

御者は、怯えたような線をの奥へと向けた。

「どんなに貨を積まれようとも、あの最の敷の方向へ馬を向けるわけにはいかない」

静かに荷台からりたしずは、異議を唱えることはなかった。

彼女は、ただ静かに頷いた。

元にあるのは、使い古されたさな呂敷包みがつだけである。

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しずは、をすくませている御者に礼を告げた。

彼女は、引き返す馬が巻きげる埃の向こうを、じっと見送った。

を吹き抜けるが、き母が残してくれた羽織の糸をすり抜けていく。

それは、肌を刺すようにたく通り過ぎていった。

しずは、夕暮れのにち尽くした。

え切った空気ので、彼女は自のささを確かめていた。

川宿は、なだらかな々の窪に、ひっそりと息を潜めるようにしていた。

板壁のが数軒並んでいる。

壁に透けた格子戸の酒が見えた。

軒先が傾いた役や、裏ぶれた旅籠もある。

本の煙突からは、細い煙がちっていた。

どこかで野犬が声吠えた。

その声は、すぐにい静寂にみ込まれていった。

9終わりの夕暮れは、容赦なくたい黄昏のを町に投げかけている。

そのは、建物の板枚に至るまで、く刻まれた傷跡を浮き彫りにしていた。

しずは、19歳だった。

彼女の顔には、い疲労のが落ちている。

父親は、半に病でこの世をった。

さらにその9には、母親をくしている。

彼女は、戸の片隅にあるで、父親を自らのでへと送りした。

その葬儀の費用を捻するために、財具のほとんどを売り払っていた。

しみが癒えるもなかった。

そんな折、方の代から通のが届いたのである。

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それは、信州のにある敷と、わずかな林の相続を告げるものだった。

先祖代々受け継がれてきただという。

しかし、そこにはの価値と等しいほどの、莫な借がくのしかかっていた。

すぐにてきて権利を継ぐか、さもなくばの役所に没収されるかのどちらかである。

には、そう酷な事実が記されていた。

しずに選ぶべきなど残されていなかった。

彼女には、く当てなどどこにもなかったのである。

呂敷包みを脇にしっかりと抱え直した。

しずは、本のを歩いて宿町へと入っていった。

彼女の旅の靴のつま先はすり切れ、踵の底はくなっていた。

黒髪をきっちりと結いげ、なの巾を被っている。

その姿は、たちがい描くような欲な主の娘とは似ても似つかなかった。

ただの物静かな娘にしか見えない。

沿いの先の縁側で、男たちが無言のまま彼女の姿を目で追っていた。

呉の格子戸のから、の女がさっと顔を背けた。

代の事務所は、古びた薬の隣にひっそりと佇んでいた。

壁に掲げられたの板には、事務所という文字が記されている。

その染みは、まだ鮮やかなを保っていた。

しずは、控えめに戸を叩いた。

奥から、入って来いという乾いた声が返ってきた。

は、老いてくぼんだ目をしていた。

インクの染みがついた袖を持つ、ひどく痩せた男である。

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