みかん小説
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"昨日の私を着る女" 第12話

ドアのにち、鞄から財布を取りそうとした、そのだった。

横から、もうつのが滑り込んできた。

自ドアのガラスに、並んだふたつのが映った。

息が、喉の奥で止まった。

隣にった女性の肩に、ざっくりと編まれた、ミルクティーのローゲージカーディガンが羽織られていた。

ドロップショルダーの落ち。

の裾だけがわずかにくなった、あの変形のアシンメトリーカット。

も、編み目も、私が今着ているものと、完全に致していた。

指先が凍りつき、財布を握るが直した。

臓の鼓がの奥で乱打し、界の端がく滅する。

まさか。

あいつが、戻ってきたのか。

女性が、内の棚に目を向けながら、ゆっくりとこちらへ振り返った。

「……あ、すみません」

女性は私と目がうと、さく会釈をして、し照れくさそうにを引いた。

代半ばくらいの、胸に社員証をぶらげた、見らぬ会社員だった。

には、オフィスのランチ用のパックのお茶が握られていた。

ただの、見らぬだった。

「……いえ」

私は掠れた声で返し、先に自ドアをくぐらせた。

女性の背が、コンビニの蛍灯ののへと消えていく。

私は、自ドアのでち尽くしていた。

のたいが、カーディガンの編み目を通り抜けて、素肌を撫でていく。

背には、びっしりとたい汗が張り付いていた。

よかった、別だ。

ただの偶然だ。

そう自分に言い聞かせながら、私は胸を撫でろそうとした。

だが、指先が微かに震えて止まらなかった。

私はもう、いせないのだ。

で自分と同じを着たとすれ違ったとき。

「あ、被っちゃったな」と、ただ笑ってやり過ごすことができていたあの頃の覚を。

いつから、失ってしまったのか。

ガラスドアに映る自分の輪郭を、私はただ、見つめ続けることしかできなかった。

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