"「母の十分は無駄」と笑った夫の失脚" 第11話
「お義母さん」
私は義母の言葉を、容赦なく断ち切った。
「もしあの、たいフローリングので腰の骨を折って、痛みに震えながら朝まで放置されていたのが——お義母さん自だったら、同じことが言えますか?」
義母の唇が、刻みに震え始めた。 真っ赤に塗られたが、歪んで引き攣れる。
「『息子の甲斐性だから、私が骨を折って寝たきりになっても構わない』って、健さんに笑って言えるんですか?」
「そ、それは……私とこのは、が違うでしょう……!」
「命のさに、どんなの違いがあるっていうの?」
義母は言葉を失い、喉をヒクヒクと鳴らしたまま、歩ずさりした。 息子を崇拝し、の痛みを踏み躙ることで成りっていたその傲な仮面が、音をてて崩れ落ちていく。
私はスーツケースの持ちを握り直した。
「失礼します」
「ま、待てよ、由美!」
背から健が腕を伸ばしてきたが、私は振り返りもせずに振り払った。
「鍵は靴箱のに置いておきます。今の連絡は、すべて弁護士を通していますので、私の携帯には度とかけてこないでください」
ドアを押しけ、へる。 カチャリと自ドアが閉まる音が、の々に打たれた終止符のように聞こえた。
母の老ホームから徒歩分ほどの所にある、築の単者向けアパート。
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具付きのマンスリーマンションを、私は持ちのへそくりとパートの座から敷を払って契約した。
畳の、狭い部。 けれど、誰の嫌を伺う必もない。 誰の罵声に怯えることもない。
荷物を解き終え、気ポットで沸かしたお湯でインスタントのお茶をんでいた、スマートフォンの画面が激しく滅した。
着信表示は——娘の真奈だった。
都内のIT企業で働き、暮らしをしている歳の娘。 普段は仕事が忙しく、週末にしか連絡をしてこないはずの真奈からだった。
胸騒ぎを覚えながら、通話ボタンを押す。
「もしもし、真奈?」
『……お母さん?』
スピーカーから聞こえてきた娘の声は、息ががっていた。
『今、どこにいるの? お父さんから話があったの。「お母さんとおばあちゃんが狂って、俺を会社から追いそうとしている。おからもお母さんを説得してくれ」って……泣き叫びながら話してきたんだけど、体何が起きてるの!?』
父親の、あの見苦しい悪あがきが目に浮かぶようだった。 会社で居所を失い、妻に逃げられ、今度は独した娘に泣きついて、自分を「被害者」に仕てげようとしているのだ。
「真奈。驚かせてごめんなさいね。今、どこにいるの?」
『会社をたところ。今からそっちにく。お父さんの? それともおばあちゃんのところ?』
「所を送るわ。
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今、駅のくの部にいるの」
、息を切らしてアパートの階段を駆けがってきた真奈は、畳の部にぽつんと置かれた私のスーツケースを見て、息を呑んだ。
「お母さん……本当に、をたの?」
「ええ。座って、お茶淹れるから」
真奈はパイプ子に腰掛け、そうに部を見回していた。 父親のことが好きだった娘だ。 企業の営業部としてバリバリ働き、休は派なスーツを着てゴルフにかける父親を、ずっと誇りにっていたはずだ。
「真奈。お父さんから、何て言われたの?」
真奈は俯き、膝ののバッグをく握りしめた。
「『おばあちゃんが認症の被害妄で、会社に嘘のクレームを入れてきた。お母さんもそれに加担して、俺を破滅させようとしている。おだけでも俺の方をしてくれ』って……あんな取り乱したお父さんの声、初めて聞いた」
「そう」
私は呼吸をつして、テーブルのにタブレットを置いた。 川から共された社内調査のデータ、母が保管していた分の領収、そしてさんの娘さんから預かった計算の写真。
「真奈。私はあなたに、お父さんの悪を吹き込むつもりはないわ。でも、何が起きたのか、事実だけはっておいてほしいの」
真奈は震えるで画面をスクロールし始めた。
画面に流れる、父のメール。
『齢者はを煽れば簡単にをす』 『事故が起きたら使い方が悪かったと突っぱねろ』
そして、芳さんの娘さんに渡された、夜巡回を解約させるためのきの試算表。