"「母の十分は無駄」と笑った夫の失脚" 第10話
私は引きしの奥から、朝番で印刷してきた類の束を取りした。 テーブルのに、音をてて置く。
「……何だ、これ」
「産の登記事項証と、過のあなたの源泉徴収票の控え。それから、うちの預通帳のコピーよ」
健の眉がぴくりとねた。
「このマンション、確かに名義はあなたよ。宅ローンもあなたの座から引き落とされている。でもね、健さん。婚姻に築いた財産は、名義がどちらであれ『夫婦の共財産』なの」
「……は?」
「結婚して。私が事と育児をに引き受けて、真奈を育てげたから、あなたはで営業部として働けたんでしょう? 私がパートで稼いだおも、々の活費と費に消えていた。これらはすべて、法律、財産分与の対象になるのよ」
健の顔から、酔いの赤みが急速に引いていった。
「な、何を言ってるんだ……お、誰にそんな恵を……」
「今朝、法テラスの弁護士さんに話相談したわ」
私は静かに夫を見据えた。
「私がをても、婚が成するまでは、あなたには私に対して『婚姻費用』を支払う法な義務があるの。あなたの収入と私のパート収入を照らしわせれば、々いくらになるか、算定表も見せてもらったわ」
「ふ、ふざけるな! 俺のだぞ! なんでをていく女に、俺が毎を払わなきゃいけないんだ!」
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「法律がそう定めているからよ」
私の声は、驚くほど澄んでいた。 声を荒げる必すらなかった。 徹な社会のルールという鉄板が、私の背をしっかりと支えていた。
「あなたが私を追いす権利なんて、どこにもないの。私が自らていくのは、あなたと同じ空気を吸うのが耐えられないからよ」
スーツケースのファスナーを、力く引きげる。 ジーッというたい音が、静まり返ったリビングに響いた。
玄関で靴を履き替えている、インターホンが激しく連打された。
ピンポン、ピンポン、ピンポン!
けたたましいチャイムの音に続いて、ドアをからドンドンと叩く音が響く。 チェーンをかけたままドアを数センチけると、そこには鬼の形相をした義母の子がっていた。
「けなさい! けなさいよ、由美さん!」
鍵をし、ドアをけると、義母は靴も脱がずに玄関のたたきへ踏み込んできた。 肩を激しくさせ、持ちのバッグを振り回さんばかりの勢いだ。
「健から聞いたわよ! あなた、会社にまで嗅ぎ回って、部のくんに余計なことを吹き込ませたんですってね!? どこまで息子のを引っ張れば気が済むの!」
リビングから、健がばつの悪そうな顔で顔をした。 母親の登に勢いを得たのか、ろから私を睨みつけている。
「お義母さん、朝から所迷惑です。
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静かにしてください」
「静かにできるわけないでしょう! 息子の懲戒免職がかかってるのよ!? あなた、男の仕事というものが分かってないのよ! できなをかすが、しくらいげさなセールストークをして何が悪いのよ! 男の甲斐性でしょうが!」
「……男の甲斐性ですか」
胃の底から、黒いりがふつふつと湧きがってきた。 私はバッグのから、クリアファイルに入った枚の類を取りした。
昨、病院で芳さんの娘さんから預かった、転倒の護記録のコピーだ。 芳さんがので発見されたの々しい状況、骨折した患部のレントゲン写真の複写。
それを、義母の先に突きつけた。
「これを見てください」
「な、何よこれ、気の悪い……」
「芳さん、歳。健さんの『夜巡回はいらない』という言葉を信じて、センサーをつけていた方です。先週、夜にトイレにこうとして転倒し、腿骨を骨折しました。ので、朝まで、たい失禁ので倒れていたんです」
義母の目が、類の写真に吸い寄せられたまま直した。
「齢者が腿骨を骨折したら、どうなるか分かりますか? 度と元のようには歩けなくなるかもしれない。そのまま認症がんで、寝たきりになるケースだってほどあるんです。健さんは、その命の危険をに換えて、先期の売トップを獲ったのよ」
「そ、それは……このの運が悪かっただけで……」