"「母の十分は無駄」と笑った夫の失脚" 第4話
……静かすぎる。
いつもなら聞こえるはずの、社員たちのざわめきや笑い声が切ない。 廊に漏れてくるのは、息が詰まるような気だけだった。
健がドアを押しけた。
「おはようございます。営業部の佐藤です——」
言葉が、途で喉に張り付いた。
内には、表彰式を彩るはずだった『祝・半期最優秀賞』の横断幕はなかった。 パイプ子は几帳面に片付けられ、央のい楕円形テーブルを囲むように、苦しい表のが数だけ座っていた。
座には、苦渋に満ちた表を浮かべる社の神田。 その隣には、眉にい皺を刻んだコンプライアンス・川。 そして、発部のチーフエンジニア。
だが、健の呼吸を完全に止めたのは、その向かい側に座る物の姿だった。
背筋をピンと伸ばし、喪のようにい紺のワンピースを着た老婦。 その隣には、代半ばの、目を真っ赤に腫らした女性が座っている。
「……お、袋?」
健の喉から、掠れた声が漏れた。
田子。 健が「分も価値がない」と切り捨てた、妻の母親だった。
「な、なんで……どうして母さんがここにいるんだ?」
健が狼狽え、線を泳がせる。 その、部の隅のパイプ子に、私が静かに座っていることにも気がついた。
「由美!? お、何やってんだ! ここは社員の会議だぞ! 部のが勝に入ってきていい所じゃ——」
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「静かにしなさい、佐藤部」
川のく、刃物のように鋭い声が会議を切り裂いた。
「部のではありません。本、正式にコンプライアンス窓へ申してをわれた、なお客様方です」
「は……? お客様? なに言ってるんですか川さん、こいつは俺の義理の母親で、ただの寄りですよ! 表彰式のに、内がふざけて押し掛けてきただけで——」
「佐藤健さん」
母が、初めてをいた。 その声は驚くほど通る、静かで、徹な響きを持っていた。
「あなたが先、私たちの施設で売った械のことについて、お聞きしたいことがあって参りました」
健の顔から、サーッと血の気が引いていくのが分かった。 赤くえたネクタイが、首を絞める縄のように見えた。
「き、械……? なんだよそれ。製品に初期良でもあったなら、カスタマーセンターに話すれば済む話だろ! なんでわざわざ会社に——」
「初期良ではありません」
母の隣に座っていた女性——芳さんの娘、恵子さんがちがった。 そのには、枚のが握りしめられている。
「佐藤さん。あなた、説会で私に何て言いましたか?」
「え……」
「『このセンサーを付ければ、夜に職員が見回りに来る必はありません。いオプション費用を払うのは無駄です。浮いたおで、お母さんに美しいものでもべさせてあげてください』……そう言いましたよね?」
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「そ、それは……ただのアドバイスというか、般論として……」
「母は、先週の曜に転倒しました」
恵子さんの声が、激しいりと悔しさで震えていた。
「腿骨の骨折です。齢者の骨折がどれほど危険か、介護用品を扱うあなたなら分かっているはずです! 械は鳴りませんでした。母はたいので、痛みに耐えながら朝まで倒れていたんです!」
「そ、それは械の設置ミスか、お母様がセンサーの角に……!」
「いいえ」
母がバッグから取りしたスマートフォンを、テーブルの央に置いた。
「あなたが説会で話していた音声と映像、すべて記録に残っています」
母が画面をタップする。
スピーカーから、聞き慣れた、傲で滑らかな声が流れした。
『皆さん、ごください。うちのセンサーは社の物とはわけが違います。最のAIが入っていますから、ベッドからがれた瞬にします。夜の付き添いサービスなんて、介護事業者がおを巻きげるための罠ですよ。これさえあれば、ご族のを煩わせることも切ありません。もし何かあったら? ははは、そのはこの営業部の佐藤が、全責任を持ちますから!』
会議の空気が、完全に凍りついた。 音声を再するスマートフォンの横で、技術責任者が忌々しそうに吐き捨てた。
「……発部から、夜の巡回を代替することは絶対に能だと、営業部には文で度も通達をしていました。