"三人だけの家族写真と、消された私" 第3話
「彩、頼むからやめてくれよ。ので騒ぐなよ……」 拓也が周囲を気にしながら、けない声で懇願してくる。
私は義母の憤の線を真正面から受け止めた。
「お義母さん。おをしてくださったことには謝しています。でも、結は私の娘です。私をしないものとして扱うアルバムを、親戚に配ることは絶対に許しません」
義母はわなわなと唇を震わせ、言葉を失った。 この瞬、私はただの「耐える嫁」であることをやめた。
写真館をる際、野さんがそっと私にをげてくれた。 へ向かう駐までの、義母は言もを利かず、ただりを撒き散らすようにヒールを鳴らしてを歩いていた。拓也は私の隣で、いため息ばかりを繰り返している。
部座席でチャイルドシートに揺られる結だけが、何もらずに穏やかな寝息をてていた。
自宅のマンションに戻ると、義母は玄関で靴を脱ぎ散らかしたまま、リビングのソファへ直した。 「が痛いわ。血圧ががったみたい。本当に親孝な嫁ね」
そう吐き捨て、自分のバッグを乱暴にテーブルのに置く。 拓也はおろおろとしながら義母にたいお茶をし、「母さん、落ち着いてよ」と背をさすっていた。その景を見ながら、私は何も言わずに結を抱きげ、寝へと向かった。
広告
ベビーベッドに娘を横たえ、おむつを替える。 袋のようにさなが、空を掴むように頼りなくいていた。
このヶのことが、馬灯のようにを駆け巡った。
産は難産だった。会の傷はく、退院してからも歩くたびに激痛がり、骨盤が軋んでいた。 里帰りをしなかった私を助けるため、義母が毎がに通ってくれるようになった当初、私は本当に救われた気持ちだったのだ。
スーパーでの買いし、作り置きのおかず、溜まった洗濯物の片付け。 義母の際の良さは確かだったし、結をあやすつきも慣れていた。 「彩さん、あなたは寝てなさい。若いんだから無理しちゃダメよ」 そう言われたとき、私は涙がるほどありがたいとった。謝の言葉を何度もにし、義母が帰るときには々とをげていた。
だが、謝をねるごとに、境界線がしずつ侵されていった。
蔵庫のは、いつのにか義母の好む調料や材で埋め尽くされた。私が買っておいた凍品は「こんなの抜きよ」と勝にゴミ箱へ捨てられた。 授乳のや沐浴のやり方にも、ことごとくを挟まれた。 「母乳のが悪いのね。に、結ちゃんがお腹を空かせてるわ。私の代はね……」 「抱き癖がつくから、泣いてもすぐに抱きげちゃダメよ」
広告
私が自分のやり方で育てようとすると、義母は途端に嫌を損ね、「せっかく伝ってあげているのに」と当てつけのようにため息をつく。 そして、拓也がいるでは決まってこう言うのだ。 「彩さんはまだ領が掴めないみたいだから、私がしっかり教えてあげないとね」
拓也はいつも、ヘラヘラと笑いながら言っていた。 「母さんも悪気があるわけじゃないんだからさ。助かってるのは事実だし、目に見てやってよ」
拓也にとって、母親ががに君臨している状態は、単に「事が回っていて楽な状態」に過ぎなかったのだ。妻がどれほど自尊を削られているかなど、像もしていなかった。
そして今の写真館での来事。 あれは、単なるいつきの嫌がらせではなかった。 義母は最初から、あのアルバムに私を載せるつもりなど毛なかったのだ。
夕方、義母は「もう顔も見たくないわ」と吐き捨てて、自分のへと帰っていった。 玄関のドアが閉まる音を聞いた瞬、私は張り詰めていた糸が切れたように、そのにへたり込みそうになった。
リビングに戻ると、拓也が散らかったテーブルのを片付けていた。 私が戻ってきたのを見ると、彼は困惑と非難の入り混じった顔でをいた。
「彩……さっきの態度は、やっぱりまずかったんじゃないか?」
「何が?」 「写真館でのことだよ。員さんのであんなこと言って、母さんに恥をかかせる必はなかっただろ。せっかく母さんが孫のためにっておをしてくれたのに」