"月3万で罵られる妻と、私の会社から50万貰う秘書" 第2話
酒と、あの女の甘ったるいの匂い。 夫はリビングにかりもつけず、い取りで階の斎へとがっていった。
私はキッチンにち、たい麦茶を杯み干した。 指先がまだ微かに震えている。
――エム・クリエイティブから万円。
あの女の嘲笑が、の奥にこびりついてれない。 私はスリッパを脱ぎ、音をてずに階へがった。
夫の寝からは、すでに響きのようない鼾が聞こえていた。 私は斎の引き戸を、数センチだけ引いた。
内には、級な革張りの匂いと埃の匂いが混ざりっている。 机のに散らばる名刺の。 「都企画株式会社 取締役営業統轄本部 修」
私は息を殺しながら、机の番のい引きしをけた。 かつて、会社の類を入れていた所だ。
。 義母の膝の術が落ち着き、私も歳になって、「もう度、社会と繋がりたい」と必に願った。 結婚に印刷会社で版作成や見積もり調をしていた経験をかし、パンフレットのデザインや印刷を仲介するさな会社を作ったのだ。
資本は、私の独代の貯からした百万円。 最初の半は、必だった。 元のやのツテを頼り、チラシの受注を取り、納品先から「助かったよ」と謝されたのの震えを、今でも覚えている。
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けれど半が過ぎた頃、夫が言ったのだ。
『真由、おのやってる遣い稼ぎみたいな仕事、もう取引先から打ち切られたぞ。これ以赤字を垂れ流されたら、俺の会社の体面に関わる。会社は休眠続きを取って止しておくから、印鑑と通帳を渡せ』
『……でも、まだやれるとうの』
『の程をれ! 専業主婦が調子に乗るな! のことと母親の面倒だけ見ていればいいんだ!』
あの声に怯え、私は類も通帳もすべて夫に預けてしまった。 そして、法務局や税務署への続きは「すべて俺が顧問税理士を通じてやっておいた」という夫の言葉を、疑いもせずに信じ込んでいたのだ。
引きしの奥、黒いファイルケースを引っ張りす。 産の権利、保険証券、帳。
どれだけ探しても。 エム・クリエイティブの「休眠届」の控えも、解散公告の類も、見当たらなかった。
翌朝。 午の卓は、張り詰めた沈黙に支配されていた。
目のに濃い隈を作った夫が、嫌そうにトーストを齧っている。 義母はまだ起きてこない。
私はコーヒーカップをソーサーに置き、努めて平坦な声をした。
「修さん」
「あ? 朝からなんだよ。が痛いんだ」
「エム・クリエイティブのことなんだけど」
その単語をした瞬。 トーストをに運んでいた夫のが、ピクリと止まった。
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わずかコンマ数秒の直。 夫は線を聞に向けたまま、乱暴に咀嚼を続けた。
「……それがどうした。とっくに潰した会社の話を今更蒸し返すな」
「昨、佐伯さんが言っていたの。あの会社から、毎万円のお料をもらってるって」
夫はバサリと音をてて聞をテーブルに叩きつけた。
「あいつの冗談を真に受けてどうする! 都企画の古い案件で、帳簿の都で名を借りて清算してるだけだ。おみたいな世らずがを挟む領域じゃない」
「帳簿の都? でも、あの会社は私が代表取締役で設した法よ。休眠させたはずの会社で、どうしてに毎万も――」
「うるさい!」
夫の声が、静かな朝のリビングに響き渡った。 カップののコーヒーがさく波打つ。
「俺がでどれだけをすすって役員までいがったとってるんだ! 俺のやることにケチをつける気か? おは全族をに迷わせたいのか!」
「……」
「の程を弁えろ。おは黙って、ので万円のやりくりだけしていればいいんだよ!」
夫は残りのコーヒーを気にみ干すと、ちがり、鞄をひっつかんで玄関へ向かった。 乱暴にドアが閉まる属音が、私の胸の奥にく残った。
臓が、鐘のように打っていた。 恐怖ではない。 確信だった。
夫は、隠している。 な何かを。
午分。 私はパート先へ「急な体調良」と連絡を入れ、支度をえた。 向かった先は、さいたま方法務局だった。