みかん小説
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"三十周年に施設へ捨てられた妻と予約主の息子" 第13話

として聞かせていたのだ。 おばあちゃんがいなくなれば、僕の部ができる。 おばあちゃんがしてくれれば、みんなが幸せになれる。

この子は、何もらない。 悪気なんて、爪の先ほどもない。 好きなパパの言葉を信じて、好きなばあばに、笑顔でその残酷な刃を突きてているのだ。

背筋に、たい汗が伝った。

もし、私がここで折れたらどうなる? 「のためだから」と、いつものように笑ってし、あの施設に入居してをけ渡したら。 この子は、になった、どういうになるだろう。

『誰かを犠牲にすれば、自分の欲しいものがに入る』 『い誰かがするのが、族の当たりなんだ』

そうやって、父から息子へ、息子から孫へと、佐伯の呪われた搾取の連鎖が受け継がれていくのだ。 夫が私にしたように。 亮太が私にしたように。 そしていずれ、このもまた、美咲さんや、未来の自分の族を踏みつけにする男になる。

「……ちゃん」

私は震える膝に力を入れ、しっかりとの目線のさにしゃがみ直した。 笑顔を作った。けれど、その瞳の奥には、絶対に揺らがないを灯して。

「ばあばはね、あそこにはお引っ越ししないのよ」

が議そうに首をかしげた。 「え……? でも、パパが……」

「ばあばはね、今の自分のお仕事を懸命やって、自分のおで暮らすの。

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……ちゃんのお部はね、パパとママが、自分たちのおで、自分たちの力で作るものなのよ。のことは、がちゃんと決めるからね」

は理解できたような、できないような顔をして、パチパチと瞬きをした。 そして、「うん!」と元気よく頷き、再び積みの方へとっていった。

ちがると、界の隅に美咲さんの姿が見えた。 美咲さんは壁に背を預け、元をで覆って、涙を流していた。 私の言葉を、ろで全て聞いていたのだ。

私は美咲さんにづき、静かに言った。

「美咲さん。……あの子たちの都のいい具にされるのは、私で最にします」

美咲さんは何度も、何度も頷いた。

そのの夕方。 幼稚園をて駅へ向かう私のスマートフォンに、本のメッセージが届いた。

送り主は、夫――佐伯隆志。

『の夜、自宅に来い。亮太も、織も呼んである。で顔をわせて、きちんと話をつけよう。これ以逃げ回るな』

文面から滲みる、追い詰められた男の焦燥と、最の虚勢。

を集めて、数の暴力で私を屈させ、値でに判子を押させるつもりなのだ。 亮太には「母親を説得すればを面してやる」と餌をぶらげ、織には「妻と直接話をつけさせる」と取り繕っているのだろう。

けれど、あのはまだらない。 そのので、全員が共している真実などつもなく、それぞれが違う嘘を信じ込まされているということを。

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私は画面を見つめ、く呟いた。

「逃げ回っているのは、あなたでしょう」

私は返信を打った。

『わかりました。の夜、伺います』

破滅の引きは、すでに引かれていた。 の夜、あの暮らしたリビングで、分の嘘のすべてを清算する。

約束の夜、暮らしたのにった。

見慣れたはずの扉が、どこかの敷のようにたく見えた。 階の窓にはかりがついていない。 階のリビングのカーテンの隙から、っぽい蛍灯のが漏れていた。

息をく吸い込む。 たい夜気が肺を満たし、の芯が冴え渡るのをじた。 バッグの持ちをく握り直す。 には、野弁護士と作成した資産目録の写しと、法務局で取得した登記事項証、そしての計記録をまとめたノートが入っている。

玄関のチャイムは鳴らさなかった。 自分の鍵を鍵穴に差し込み、静かに回す。 カチャリと音がして、いドアをけた。

玄関に靴が、並んでいた。 夫の磨きげられた革靴。 息子の履き慣れたビジネスシューズ。 そして、端の方に揃えられた、あのベージュのパンプス。

……とも、揃っている。

靴を脱ぎ、廊をむ。 リビングの引き戸をけると、内の空気が瞬で張り詰めた。

ダイニングテーブルの央に、腕組みをした夫が座っていた。

その隣には、目を充血させ、貧乏ゆすりを止められない息子。

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