"三十周年に施設へ捨てられた妻と予約主の息子" 第7話
え切った指先だった。
「あなたを責めるために呼んだんじゃないの。あなたは何もらなかった。あの子たちが、あなたを騙して利用しただけよ」
美咲さんは顔をげ、涙で濡れた目で私を見つめた。 その目には、底れない絶望と、激しいりが渦巻いていた。
「……許せない」
く、絞りすような声だった。
「私の両親、今回のの購入のために、虎の子の貯から百万、無利子で貸してくれたんです。亮太とのために、にしてくれって……。あの百万、先週、産に付としてもう振り込んじゃったんです」
臓が、ねた。
「付を……?」
「はい……。あの学区の、気物件だからく契約しないとのに取られるって、亮太が焦って……。『実を売れば父さんから千百万るから、絶対にローン審査は通る。付さえ入れれば仮契約できる』って……!」
亮太は、母親をから叩きす算段をつけたそので、すでに妻の実のまで巻き込んで、戻りできない契約に踏み切っていたのだ。
「亮太は……お義母さんの活を奪って、私の親のまで勝に危険に晒して、自分たちのを買おうとしていたんですね……」
美咲さんは唇を噛み締め、バッグを乱暴に掴んでちがった。
「お義母さん、私、帰ります」
「美咲さん?」
「亮太と、話をつけてきます。……あんなと、同じ空気を吸いながら子育てなんてできません」
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引き止める言葉は、見つからなかった。 りる美咲さんの背を見送りながら、私はめた茶をんだ。 甘みも渋みも、何つじられなかった。
美咲さんと別れた、私はに乗り、千葉方法務局へ向かった。
窓で申請をき、数料を払って、自宅の『登記事項証』を受け取る。 青い蛍灯ので、たいの束に目を落とした。
『権利部(甲区) 所者 佐伯隆志』
夫の単独名義。 、築建売で購入した当の記録。 そして『権利部(乙区)』には、方の抵当権が設定されていた。
債権額、千百万円。 毎、夫の座から引き落とされていた宅ローン。 だがその原資は、夫の料だけではない。 私が鮮魚コーナーで魚を捌き、を氷に晒しながら稼いだ毎のパート代から、費も、費も、亮太の学費も、全て私が補填していたからこそ、夫は料からローンを払い続けることができたのだ。
「……勝なことは、させない」
証を鞄にしまい、そので、事に予約していた県弁護士会の法律相談窓へ向かった。
さな相談で迎えてくれたのは、髪交じりの落ち着いた女性弁護士だった。 名刺には『弁護士 野涼子』とある。
私は登記事項証と、昨の来事、そして亮太が残していった資計画のコピーを机のに並べた。
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「野先。夫は、このは自分の単独名義だから、私を追いして売却し、しい交際相とのマンション購入のにすると言っています。そして息子には、売却代から千百万を渡すと約束しているようです」
野弁護士は類を素く見比べ、額にを当てていため息をついた。
「典型な勘違いですね。本の民法第百条に基づき、婚姻期に夫婦の協力によって築かれた財産は、名義が夫単独であっても『実質共財産』とみなされます。あなたが、専業主婦として事育児を担い、さらにパート収入で計を支えていたのであれば、原則として財産の分のに対する財産分与請求権があります」
弁護士は卓を叩き始めた。
「この域の現の取引相からすると、築の戸建て、建物をわせて約千百万。宅ローンの残債が約百万から百万。売却に伴う仲介数料や諸経費を引けば、元に残る現――純資産は、せいぜい千百万円です」
カタカタと、たい計算の音が響く。
「この千百万のうち、半分――つまり千百万が、佐伯真紀さん、あなたの正当な取り分です。ご主が自由にできるのは、残りの千百万だけですよ」
その数字を聞いた瞬、私の胃の底がすうっとたくなった。
夫が自由にできるは、千百万。
……なのに。 夫は、息子に千百万を約束した。 そして、織という女に、都内の築マンションのとして千百万を約束した。