"三十周年に施設へ捨てられた妻と予約主の息子" 第6話
亮太から「お義母さんが体調を崩して、自分から希望して施設に入ることになった」と聞いたのですが……本当なんですか? 亮太の様子がおかしくて、どうしても信じられなくて、ご連絡しました』
私は画面を見つめたまま、ゆっくりと起きがった。
儿媳(美咲)は、何もらされていなかったのだ。 息子は、自分の妻にまで嘘をついて、この残酷な計画をめていた。
指先をかし、私は返信の文字を打ち始めた。
『今、駅のビジネスホテルにいます。の朝、駅のファミリーレストランで会えますか。亮太には内緒で』
震える指先でそれだけを打ち込み、送信ボタンを押した。
美咲さんからの返信は、分も経たずに届いた。
『わかりました。に伺います。は私の母に預けていきます』
い文面から、息を詰まらせているような緊張が伝わってきた。 私はスマートフォンを胸のに置き、ベッドに横たわった。 目を閉じても、瞼の裏に焼き付いているのは、あのの玄関に並んだ見らぬ女のベージュのパンプスと、私のが詰められたつの段ボール箱だった。
朝が来るのが、これほど恐ろしいとったことはない。 けれど、逃げる所なんて、もうどこにもなかった。
翌朝分。 駅のファミリーレストランの奥のボックス席に、美咲さんはすでに座っていた。
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すっぴんにい顔に、目のには濃い隈が落ちている。 私が入ってくる姿を見つけると、美咲さんは弾かれたようにちがり、々とをげた。
「お義母さん……」
消え入りそうな声だった。 席に着くと、美咲さんはテーブルので両をぎゅっと握りしめていた。 爪がくなるほど、く。
「美咲さん。朝くに呼びしてごめんなさいね」
「いいえ……。お義母さん、亮太が言っていたこと、本当なんですか? お義母さんが体調を崩して、事をするのが辛くなったから、自分から環境のいい施設にきたいって……」
喉の奥が、ぎゅっと締め付けられた。
息子は、そこまで周到に嘘をねていたのだ。 自分の妻にすら、母親が病気で施設を望んでいると偽り、美談に仕てげていた。
私は何も言わず、バッグからスマートフォンを取りした。 画面をタップし、昨の夕方に撮した写真を美咲さんのに差しした。
枚目。 玄関に脱ぎ捨てられた、代半ばの女のパンプス。
枚目。 黒い油性ペンで『真紀・用品』と乱暴にかれた、廊に積まれた段ボール箱。
枚目。 私のマグカップを持ち、夫にしがみついていた、野織という女のろ姿。
美咲さんの息が、喉の奥で止まった。
目を見き、画面を凝したまま、固まっている。 顔からさーっと血の気が引いて、のようにくなっていくのが分かった。
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「……これ、何ですか……? この女の、誰ですか……?」
「夫の、交際相よ。織さんという」
「……は?」
美咲さんのから、掠れた声が漏れた。
「昨、結婚周の記だからとに乗せられて、着いた先がサービス付き齢者向け宅だったの。受付には私の名の歓迎ボードがあって、トランクから私の荷物がろされたわ。受付のが言ったのよ。『ご子息様からのお申し込みです』って」
「嘘……」
「私は入居を拒否して、でに戻った。そうしたら、あの女のがもうんでいたわ。私のは全部箱に詰められていて、夫は『彼女がみ始めてるからには帰らなくていい』って」
美咲さんの肩が、刻みに震え始めた。 テーブルのに置かれたコップのが、かすかに波紋を描く。
「そんな……そんなの、あんまりです……! 亮太は、亮太は私に……『母さんが最、膝が痛くて階段のりりも辛いって言ってるから、ワンフロアで事もる施設を見学させてあげるんだ』って……! 私、亮太が親孝をしてるんだって、本気で信じて……!」
美咲さんの瞳から、粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。 両で顔を覆い、肩を震わせて泣きじゃくる。
「私、あの施設のお試し体験のパンフレット、取り寄せるの伝ったんです……。母さんがぶ顔が見たいからって亮太に言われて、話して……。私、お義母さんを追いす片棒を、自分ので担いでいたんですか……?」
「美咲さん、顔をげて」
私はテーブル越しに、美咲さんの震えるに自分のをねた。