"流産を嗤う義母と四十年前の手紙" 第10話
退院はで歩けないので、朝昼晩の事の世話と、部の掃除、買いし、病院へのリハビリの送り迎えを全部やってくれるサービスを配してください。費用は介護保険で割負担ですよね?」
担当者は困惑した顔で、介護認定の制度を説したという。
膝関節置換術の術、リハビリ順調なら義母の判定はおそらく「支援1」か「支援2」。 介護保険で使えるヘルパーの訪問は、週に〜回、の掃除や買い物代程度。 毎の事作りや見守り、病院への付き添いなどは、保険の適用。
民の自費サービスを組みわせて、夫が望むような「毎のいの回りの世話」を注した――
見積もりとして提示された額は、額約万円。
「はぁ!? 万!?」 夫はセンターの相談ブースで、周囲のが振り返るほどの声をげたそうだ。
「なんでそんなにかかるんだよ! からがるだろ! こっちは男で仕事も忙しいんだぞ! 政がなんとかしろよ!」
「お兄ちゃん、恥ずかしいからやめてよ!」 奈緒さんが止めに入ると、夫は妹に向かって目を血らせて詰め寄った。
「じゃあおが払えよ! に万ずつしえばいいだろ! それかおが毎通って飯作れよ!」
「なんで私が払うのよ! お兄ちゃんはずっと実にタダでんで、活費も浮いてたじゃない! 今までお義姉さんに全部タダでやらせてたくせに、いなくなった途端に私にを求するの!?」
広告
「あいつは嫁だろ! 族のために働くのは当たりだ!」
「当たりなわけないでしょ!!」
相談ブースのパーテーションの向こうまで響き渡る、兄妹の罵りい。 奈緒さんは最に、泣きながら夫の顔に類を叩きつけて叫んだという。
「お兄ちゃんがやってるのは親孝じゃない! ただの寄よ! お母さんをダシにして、タダで自分の世話をしてくれる女を侍らせてただけじゃない! もう度と私を巻き込まないで!!」
奈緒さんはそのままってちり、夫はセンターのロビーに取り残された。
メッセージの最には、こうかれていた。
『お義姉さん。私、今まで本当にお義姉さんに甘えてた。お兄ちゃんがあんなに卑しくて無能なだって、自分が矢面にって初めて分かった。本当にごめんなさい』
画面を見つめたまま、私は指先を止めていた。 遅すぎる謝罪。 けれど、もうどうでもよかった。 あのので誰が誰を罵りおうと、私のにはミリも関係のないことだった。
そして、義母の術当。
私は配センターの厨で、淡々とキャベツの千切りを刻んでいた。 包丁のリズミカルな音が、まな板に響く。 仕事仲のおばさんたちが「由美さん、際がいいねえ」と笑いかけてくれる。 ここには、私の労働を「当たり」と踏みにじるはもいない。
広告
術が無事に終わったことは、そのの夜、義母の旧友である文さんからの話でった。
「由美さん、突然話してごめんなさいね。パート先、忙しかったでしょう」
古希祝いで義母にのを突きつけた、文さん。 その穏やかで、芯の通った声が受話器から流れてきた。
「文さん……わざわざご連絡ありがとうございます」
「今ね、病院にってきたのよ。幸子さんの膝の術、無事に終わったわ。麻酔から覚めて、今は般病棟の個で点滴を受けてる」
「……そうですか」
私の素っ気ない返答に、文さんは責めるような気配を切見せなかった。 ただ、静かに病の様子を教えてくれた。
「健さんはね、術が終わって先から分説を受けただけで、『仕事のトラブルがあるんで』って、さっさと帰ってしまったわ。売で買ったペットボトルのお茶を本、ベッドサイドに置いただけでね」
……やっぱり。 像通りの景だった。 夫にとっての「親孝」とは、親戚ので胸を張ることと、先だけで配そうな顔をすること。 実際に病に付き添い、汗を拭き、尿瓶の処理を見守るような臭い現実に直面した瞬、秒でもく逃げそうとする。
「幸子さん、で井を見つめて泣いていたわよ」 文さんの声が、微かに沈んだ。
「喉が渇いても、術直だから自分じゃベッドから起きがれない。