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"流産を嗤う義母と四十年前の手紙" 第9話

『お義姉さん、お願い。度だけでいいから話にて。お兄ちゃんが、もう限界なの』

メッセージに添付されていたのは、田のリビングの写真だった。 画面をいた瞬、息を呑んだ。

の踏みもないほど散らばったコンビニ弁当の空き殻。 脱ぎ捨てられたワイシャツの。 台所のシンクには、茶いが溜まった鍋とカビのえた皿が放置されていた。

たった。 私が、毎毎、指の皮をすり減らして維持してきた「清潔で綺麗な田」は、私がを引いた瞬に、ただのゴミ敷へと成り果てていた。

話をかけると、奈緒さんは番、泣きそうな声で叫んだ。

「お義姉さん……本当に帰ってきてくれないの!? お兄ちゃん、完全にパニックになってるのよ!」

「奈緒さん。私はもう関係ありません」

「関係ないなんて言わないでよ! 来週、お母さんの術なのよ!? 入院の続きも、保証の類も、術の族説も、全部平の昼にあるの! お兄ちゃん、休なんて取れないって言って、全部私に押し付けてくるんだから!」

話の向こうから、奈緒さんの荒い息遣いが聞こえる。 かつて宴席で「お義姉さんがてくれるなら」と笑っていた義妹の余裕は、跡形もなく消えっていた。

「奈緒さん。あなたが会社を休んでけばいいでしょう。実の娘なんだから」

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「無理に決まってるでしょ!! 私だってパートを始めたばかりだし、子供の学の役員会もあるの! なんで私が実のことで仕事クビにならなきゃいけないのよ!?」

ヒステリックな切り声。 自分の活は秒も犠牲にしたくない。 でも、母親の面倒は誰かに押し付けたい。 その「誰か」が、これまでは私という便利なだっただけだ。

「お兄ちゃん、昨なんて言ったとう?」 奈緒さんの声が、りで震えていた。

「『おも田の娘なんだから、休全部使って実に泊まり込みで母さんの世話をしろ』って鳴られたのよ! 『由美が逃げたのはおが余計なことを吹き込んだせいだ』って私のせいにまでして! 挙句の果てに、お母さんの入院費の万円をて替えろって言ってきたの!」

。 私はテーブルのの帳に目を落とした。 てく、ダイニングテーブルのに置いてきたファイル。 そこには、義母の預通帳の保管所も、額療養費制度の申請順も、すべて付箋を貼って残してある。

「……お義母さんの通帳があるはずよ。そこからろせばいいじゃない」

「それがね、ろせないのよ!」 奈緒さんが吐き捨てるように言った。

「お母さん、暗証番号を忘れたって言いして。窓にこうにも、膝が痛くて歩けないから本がにけないの。

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委任状をくにも、お母さんが『健におを触らせたら全部パチンコと酒に消える』って頑なに印鑑を渡さないのよ!」

わず、乾いた笑いが喉から漏れそうになった。

義母は息子を溺しているように見えて、本質にはこれっぽっちも信用していなかったのだ。 そして夫もまた、母親を「親孝」の板に使いながら、その財布しか見ていなかった。

互いに依し、互いに搾取しう母と息子。 そのにって、すべての雑務とを被り、両者の顔を繕い続けていたのが、私だった。

「お義姉さん……お願い。戻ってとは言わないから、せめて域包括支援センターの面談だけでも緒に来てくれない? 介護サービスの契約、何が何だか分からないの……」

奈緒さんの懇願する声に、私はたく告げた。

「奈緒さん。契約にサインできるのは、戸籍の実子だけよ。の私には何の権限もありません。全部、あのファイルにいてあるわ。……失礼します」

通話を切り、く息を吐いた。 胸の奥に、黒い靄のようなが渦巻く。 ざまあみろ、という復讐ではない。 ただ、自分がどれほど都よく使われていたのかという、々しい傷を改めて見せつけられた痛痒さだった。

その翌、奈緒さんから再び文のメッセージが届いた。 兄妹で域包括支援センターへったの顛末だった。

夫は、域包括支援センターの相談ブースで、担当のケアマネジャーにこう言い放ったらしい。

「母が来週膝の術をするんです。

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