みかん小説
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"介護を奪われた私へ「お母さん、やっと会えた」" 第14話

覗き穴を確認すると、そこにっていたのは夫の妹の恵子さんでした。 には、古い桐の箱を切そうに抱えていました。

「恵子さん、どうされたんですか?」

部に入った恵子さんは、しやつれた顔をしていましたが、その瞳はとても穏やかでした。

「実の片付けが、段落したの。お兄ちゃんは……アパートを引き払って、会社の寮に入ることになったわ。美さんからの養育費と、由美さんへの慰謝料の支払いで、料の半分以が差し押さえられることになるみたい」

恵子さんはパイプ子に腰掛けると、抱えていた桐の箱を、私ののテーブルにそっと置きました。

「これね、お父さんの斎の机の、番奥の引きしに入っていたの。鍵がかかっていて、引きしを壊してけたら……これが入っていたのよ」

箱の蓋には、義父の几帳面な跡で、墨でかれていました。 『由美さんへ』。

私の臓が、トクンとねました。

「私、けてないわ」 恵子さんは優しく微笑みました。 「これは、お父さんが由美さんだけに遺した、本当の言葉だから」

恵子さんはそれだけ言うと、「で待ってるわね」と静かに部をてきました。

残された部で、私は震える指先で桐の箱の蓋をけました。

には、し黄ばんだの便箋が枚、綺麗に折り畳まれて入っていました。

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義父がまだをかすことができた、倒れて目くらいの頃の、力く温かい跡でした。

『由美さんへ。 おがこのを読んでいるということは、私はもうこの世におらず、おのい辛抱のが、ようやく終わったということだろう。

由美さん、本当に、本当によく頑張ってくれたね。 甲斐ない息子の嫁に来てくれたから、私はおを本当の娘のようにっていた。 縁側でお茶をみながら、のない世話をするが、私の晩の何よりの宝物だった。

おは子供がいないことを、ずっと気に病んでいたね。 浩司のない言葉に傷つき、夜の台所で声を殺して泣いていたがあるのを、私はっていたよ。 止めてやれなかった自分が、けなくて仕方がなかった。

だがな、由美さん。 私は今でもはっきりと覚えているよ。 のあるの、おがさな女の子から貰ったと言って、母ののカードを私に見せてくれたのことを。 「お父さん、私、お母さんって呼んでもらえたんです」と、涙を流しながら笑っていたおの顔を、私は涯忘れない。

おは派な母親だったよ。 誰よりも温かく、誰よりもくをせる、私の誇らしい自の娘だ。

浩司は、おの優しさに甘え、それを当たりだとい込んで踏みにじった。 あいつは必ず、私がいなくなったらおを追いそうとするだろう。

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だから由美さん、これだけは覚えておいてほしい。

私がいなくなったら、もう誰かのために、このに残らなくてもいいんだよ。 誰かの顔を伺い、誰かに尽くすためだけに、おの残りのをすり減らしてはいけない。 も、過も、佐藤の名も、全部捨てていい。 おは、お自の幸せのために、を向いて笑ってきなさい。

おの笑顔を見ることだけが、私の最の願いだ。

私の娘になってくれて、本当にありがとう。 正雄』

文字が、涙で滲んで歪んでいきました。

私はを両でく抱きしめ、狭い部ので、声をげて泣きました。 の結婚活で、度も流したことのなかった、胸の底からの慟哭でした。

夫に裏切られたも、に侮辱されたも、私は唇を噛み締めて涙を堪えてきました。 泣いたら負けだとっていました。 子供を産めなかった自分には、泣く資格すらないのだと、のどこかで自分を責め続けていたのです。

けれど、違いました。 義父は、私の流したすべての汗と涙を、最初から全部見ていてくれました。 そして、私をこのに縛り付けるためではなく、私を解き放つために、この言葉を遺してくれたのです。

「お義父さん……」 私はに頬を寄せ、何度も何度も呟きました。 「ありがとうございました……私、もう丈夫です……自分ので、歩いていきます」

初の夕暮れのが、窓ガラス越しに私の背を温かく照らしていました。

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