"介護を奪われた私へ「お母さん、やっと会えた」" 第10話
「なっ……!」
夫の線が、恵子さんの背につ私へと突き刺さりました。
「由美……! てめえ、恵子に余計なことを吹き込みやがったな! 嘘百並べてて、親戚を仲違いさせる気か!」
「嘘じゃありません」 私は歩にて、夫の目をまっすぐに見つめました。 「ケアマネジャーの坂本さんにも、訪問護のステーションにも、すでに確認を取ってあります。必であれば、過の支援経過記録を裁判所に提していただくはずになっています。そこには、あなたが度も介護に関与しなかった事実が、公な記録として残っています」
夫の喉から、ひきつったような音が漏れました。
その、横で赤ん坊を抱いていた美が、突然甲い声をげました。
「ちょっと! 浩司さん、どういうことなのよ!?」
美は赤ん坊を抱えたまま、夫の胸ぐらを掴まんばかりに詰め寄りました。
「介護でおがかかったから貯がないって言ってたわよね!? を売れば千万入るから、築マンションのにして、残りは私の育休の活費にするって言ったじゃない! どうして妹さんの許が取れてないの!? どうして全部嘘なのよ!」
「み、美、落ち着けって! 今、恵子と話をつけてる最だろ!」
「落ち着けるわけないでしょ!」 美の顔は、りと裏切られた絶望で引き攣っていました。
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「私、会社に育児休業の延申請しちゃったのよ!? このをリフォームしてむのだって、産に聞いたら築数が古すぎてリフォームに千万円以かかるって言われたじゃない! 解体して更にするにも百万かかるって! お、どこにあるのよ!? 浩司さんの座、残が万もなかったじゃない!」
美の叫び声に、リビングが凍りつきました。
夫は目を泳がせ、脂汗をダラダラと流しながらずさりしました。
「そ、それは……これから面するつもりで……」
「面って何よ! 昨だって、赤ちゃんの夜泣きがうるさいって言って、自分だけ栓して別の部に逃げたじゃない! オムツの枚も替えてくれないし、ミルクのお湯すら沸かしてくれない! 『お、母親なんだからそれくらいでやれ』って……私に言ったわよね!?」
美の瞳から、ボロボロと粒の涙がこぼれ落ちました。
その台は、かつて夫が私に浴びせ続けた言葉と、寸分違わず同じでした。
美はハッとしたように私を見ました。 その瞳には、かつて私を見していた傲さは微もなく、自分が嵌まった底なし沼のさに怯える、の追い詰められた女の恐怖が浮かんでいました。
美が信じていた「経済力があって、族いで、広な実を相続する頼もしいの男」など、最初からどこにもしなかったのです。
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そこにいたのは、父親の遺産と妻の無償の労働に寄し、それがなくなれば何つ自分で責任を取れない、空っぽで無責任な初老の男だけでした。
「おばさん……」 美の唇が、震えながらきました。 「あなた、ずっと……こんな男と……」
私は何も答えませんでした。 同する気も、嘲笑う気も起きませんでした。 美が犯した貞為の罪は消えません。しかし、彼女もまた、夫の卑劣な嘘にを狂わされ始めているのに過ぎないのだという現実が、ただ徹にそこにあるだけでした。
「……もういいわ」 恵子さんがたく言い放ちました。 「お兄ちゃん、来週の曜、お父さんの遺品理と形見分けのために、親戚が集まることになってるわよね。本の正雄伯父さんも来るわ」
夫がビクッと肩をねさせました。 正雄伯父さん――くなった義父の弟であり、佐藤族ので最も発言力を持つ、厳格な老でした。
「そこで、お父さんの遺産の全容と、過の介護の経緯について、親戚全員のですべてらかにしましょう。由美さんにも来ていただくわ」
「な……! なんで関係のない部者を呼ぶんだ! 来るな! 由美はもう佐藤のじゃない!」 夫が必に喚き散らしました。
恵子さんは夫の言葉を完全に無し、私のを取りました。
「きましょう、由美さん。ミシンとお、に運びましょう」
私たちは夫と美の号が響くリビングをにし、私の荷物をへと運びしました。