"22年育てた継娘の挙式前夜、親族席を奪われた母" 第14話
「でも、あのに戻ることも、昔のような母と娘に戻ることも、ありません」
「お母さん……」
「私はね、自分のをしくき直しているの。誰かの都のために自分を殺すき方は、もう度としないと決めたのよ」
私は作業台のの裁ち鋏にそっと触れた。たい鉄の触が、私の背筋を真っ直ぐに伸ばしてくれる。
「あなたがこれからどうきるかは、あなた自の選択よ。自分の犯した過ちと向きって、誠実に、自分のでちなさい。……それができるようになった、初めて、あなた自のが始まるんだとうわ」
美咲は元を押さえ、声をさずに泣いた。かつてのように「お母さん、助けて」と甘えることは、もう許されないのだと。自分が壊したもののきさを、彼女は今、完全に悟ったのだ。
展示会のが終わり、客たちが、またと帰っていった。
美咲は最までの片隅にち、散らかったパンフレットを拾い、子を頓するのを伝ってくれた。何かを求するわけでもなく、ただ黙々と、罪を贖うようにをかしていた。
片付けが終わり、夕暮れの茜が内に差し込む。
美咲はコートを着て、のドアノブにをかけた。そして、振り返った。
迷子のような、けれどしだけ覚悟を決めたような瞳で、私を見つめる。
「……お母さん」
掠れた声。
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「また……展示会、来てもいい?」
母としてではなく、の客として。の自したとして、会いに来てもいいかという問いかけ。
私は元の針仕事を止め、美咲の顔をまっすぐに見つめた。微笑みもしなければ、拒絶もしない。ただ、穏やかに答えた。
「来るときは、先に連絡してね」
美咲の瞳から、粒の涙が温かくこぼれ落ちた。今度は、悔の涙ではなかった。
「……うん。絶対に、連絡する」
美咲はく礼し、ドアをけた。チリン、とカウベルが澄んだ音をてる。
夕暮れののへ、美咲のろ姿が消えていく。その背は、かつて私のろを頼りなげに付いてきていた幼い子どものものではなく、過酷な現実を自分ので歩み始めた、のの女性のものだった。
ドアが閉まり、静寂がアトリエに戻ってくる。
私は呼吸をした。肺の奥くまで、緑の混ざったの空気が満ちていく。
歳。私の本当のの針は、今、私のによって、しく刻まれ始めたばかりだ。
私はミシンの源を入れ、再びペダルにを乗せた。軽な械音が、夕暮れの部に力く響き渡っていった。