"十八年間消えていた夫の保護者席要求" 第11話
ウザいとえるほど、常のにしている父親。休にリビングで寝転がっていて、の話になると急にを挟んでくるような、面倒で当たりの父親。
私には、その「ウザさ」すら分からなかった。
真夜、母が寝静まったのを確認して、私は押し入れの奥にあった自分の過の類入れを引っ張りした。学の頃、健康保険の続きか何かで母がコピーを取っていた、古い公正証の控え。そこに、鉛のい跡でメモされていた、携帯話のメールアドレス。
今の代、キャリアメールなんて使っていないかもしれない。アドレスが変わっている能性の方がずっとかった。
震える指で、スマートフォンの規作成画面にその英数字を打ち込んだ。件名は何にすればいいのか分からず、空のままにした。
本文は、何度もいては消した。「どうして私を捨てたんですか」「今どこにいますか」「度会葉を交わしてみたいです」
どれも、すぎた。母やおじいちゃんを裏切っているような罪悪が、胸をチクチクと刺した。結局、残ったのは、当たり障りのない、けれど当の私の精杯の言葉だった。
『お父さん、に格しました。元気にしていますか。返事は急がなくていいです。いつか会えたらうれしいです』
送信ボタンを押した瞬、臓がの奥で激しく鳴った。
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まるで、たい暗の井戸の底へ、をつ投げ落としたような覚だった。
翌朝、目が覚めて真っ先にスマホを見た。通はなかった。
1週。の入学式の、しいローファーを履きながら、靴箱の隅で受信トレイを更した。何も届いていなかった。
1ヶ、テストが終わった。休み、部活の宿から帰ってきた。、がった。
いつのにか、私は受信トレイを確認しなくなっていた。
「返事は急がなくていいです」といたのは自分だった。けれど、1が過ぎた、私はようやく理解した。
届かなかったんじゃない。読まなかったんじゃない。「返信しない」という確な選択を、あのはしたのだと。
あの、もしでも。「おめでとう、頑張れよ」と返ってきていたら。私はきっと、その言をお守りのように胸に抱いて、父親というをどこかで信じ続けてしまっていたかもしれない。あの無は、当の私にとってひどく残酷なものだったけれど、結果として、私を「父親の」から完全に解き放ってくれた。
*
ノートのページをめくる。ボールペンをらせるが、し止まる。
先週、母から段ボールが届いた。には、私が好きだった所のパンのラスクと、しい部用のバスマット。そして、さなが入っていた。
『美咲へ。暮らしには慣れましたか。
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おじいちゃんは毎朝、美咲がいないのを忘れて「美咲、起きるだぞ」と部を覗きに来ています。美咲が自分ので歩きしたことが、私のの番の誇りです。何かあったら、いつでも帰っておいでね』
その文字を読んだ、涙はなかった。ただ、胸の奥がじんわりと温かくなって、背筋がすっと伸びた。
あのファミレスで、元夫の健が言った言葉をいす。「父親なんだから」「血を引いてるんだから」「俺の肩きを使え」
あのは、親という関係を「血」と「契約」と「見栄」でしか理解できないだった。だから、自分が都のいいだけ親の顔をして、柄を横取りしようとした。
けれど、本当の族は、そんなものでは作られない。
をした夜にたいタオルを替えてくれた回数。のに傘を持ってバスで待っていてくれた。だらけの体操をゴシゴシと洗いしてくれたのひら。そういう、目に見えない々の積みねだけが、子どもを育てるのだ。
ノートの最のに、私はこうき留めた。
『私は、父がいなかったせいで何かを失ったのではない。母とおじいちゃんがくれただけで、私のはとっくに満杯だった。欠けたピースを探す旅は、18歳で終わった。これからは、私が私のを満たしていく番だ』
ノートを閉じ、引きしの奥へ仕った。
ちがってカーテンをけると、夕暮れのにかりが灯り始めていた。スーパーの特売のチラシをに取り、財布をポケットに入れる。
今夜は、母に教わった通りに、豚汁を作ってみようとう。