みかん小説
本棚

"病室を愛人に譲れと言った医師の夫" 第5話

と突っぱねてください』

送信ボタンを押す。

すぐに「既読」がつき、佐々から返信が届いた。

『解いたしました、代表。 胸のつかえがりました。現のスタッフたちも、クリニック側からの度なる理尽な求や、織氏からの勝な指図に限界を迎えておりました。 藤本弁護士と連携し、法に点の隙もない面を作成して、本付でクリニック事務宛てに内容証で送達する準備に入ります。 代表はお体と赤ちゃんのことだけを考えて、どうか絶対静でお過ごしください』

画面を閉じ、私はベッドの背もたれにくを預けた。

く、く、息を吐きす。

夫はらないのだ。 自分のクリニックが、なぜこれまで国患者とので度も訴訟汰にならず、額な自由診療のクレームも起きず、スムーズに回転で回っていたのかを。

本の医療通訳は、単に「国語が話せるを置けばいい」という半なものではない。 医療用語の正確な翻訳はもちろんのこと、文化な背景の違いによる認識のズレ、自由診療特の過度な期待値のコントロール、術のダウンタイムや併症リスクに関する厳格な形成。 それらすべてを、私の会社のスタッフが事に問診し、医師である夫が診察に入るに完璧にならしをしていたからこそ、夫は「名医」

広告

の顔をして子に座っているだけで済んでいたのだ。

織のような、医療の識も法務の得もない若い女が、無料の翻訳アプリを使って対応できるような代物ではない。

夫は自ら、その命線を切ると言いしたのだ。 ならば、望み通りにしてあげるまでだ。

私は夫の個アカウントをいた。

未読のまま放置されていた、数分の脅迫めいたメッセージ。 『今にサインしないなら、の朝、弁護士を連れてもう度病にくからな』

私は返信欄に、く文字を打ち込んだ。

『病の件、お断りした通りです。度と来ないでください。 また、クリニックの契約に関する件ですが、会社として正式に顧問弁護士を通じて面で回答します。 今の私への連絡は、すべて弁護士を通してください。 私個のスマートフォンへの私な連絡は、これ以、切拒否します』

送信。

そして、迷うことなく、夫のアカウントを「通オフ」にし、着信拒否のフォルダへと放り込んだ。

直、病のドアが静かにノックされた。

「さん、失礼しますね。血圧とモニターのチェックです」

入ってきたのは、主治医の井先と、担当の助産師さんだった。 井先は私の顔をじっと見つめ、それからベッドのサイドテーブルに置かれたままの、義母が残していったデパの袋に線を落とした。

広告

「……先ほど、ご主とお義母様が来られていたようですね」

井先の静かな声に、私はさく頷いた。 「はい。し、お話ししました」

「ナースステーションの方まで、しきな声が響いていましたので」 井先はカルテをきながら、穏やかな、けれど芯のある調で言った。

「さん。ここはあなたとお腹の赤ちゃんを守るための所です。ご主であっても、患者さんの静を脅かすような為は許できません。面会制限をかけますか?」

その温かい申しに、張り詰めていた胸の奥が、じんわりと緩むのをじた。

「……はい。お願いします。夫と義母の面会は、今切、お断りさせてください」

「分かりました。子カルテにその旨を記載し、病棟の入りにも共しておきます。何かあれば、すぐにナースコールを押してくださいね。あなたは何も配せず、ただこの子を育てることだけに集してください」

助産師さんが私の腕の点滴の速度を調し、掛布団を優しく直してくれた。

「赤ちゃん、音とても力いですよ。お母さんの気持ちが落ち着いたのが、ちゃんと伝わってるみたいです」

助産師さんの言葉に、私はお腹のに置いたに、そっと力を込めた。

トクトク、トクトク。

さな、力い命の鼓。

夫は私を捨てたつもりでいる。 妊婦の妻を個から追いし、会社のを巻きげ、若いとしいを謳する気でいる。

けれど、あのは何も分かっていない。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: