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"病室を愛人に譲れと言った医師の夫" 第3話

私の声には、涙の震えも、取り乱した叫びもなかった。 の結婚活で、私が夫に対して初めて見せた、完全な拒絶の態度だった。

夫の顔が、みるみるうちにりで赤黒く染まっていく。 プライドの塊のような男だ。 これまで何を言っても従順に微笑み、クリニックの面倒な雑務を引き受け、母親からの理尽な攻撃にも黙って耐えてきた「都のいい妻」が、公然と自分に逆らった。 その現実が、夫には許せなかったのだ。

「お……自分が何を言っているのか分かっているのか?」

夫はベッドに詰め寄り、私を威圧するように顔をづけた。 ツンとした、っぽい甘いの匂いがを突く。 織の匂いだ。

「たかが個ひとつ譲れないようないやりのない女だとはわなかったよ。そんな酷で狭量な性格だから、何も子供ができなかったんだ。おのその欠陥だらけの性格のせいでな!」

臓の奥に、氷の刃を突きてられたような痛みがった。 けれど、議と涙はなかった。 ただ、目のの男に対するが、綺麗さっぱり消え失せていくのをじていた。

ああ、このはもう、私の夫ではない。 ただの、見苦しい赤のだ。

「俺は織と、織のお腹にいる本当の跡取りを幸せにする」 夫はコートの内ポケットにを入れ、何かを取りそうとして、い直したようにを止めた。

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「もうおとはやっていけない。部を譲らないなら、それでいい。退院したらすぐに婚届に判を押せ。慰謝料も財産分与も、円も期待するなよ。おみたいな恩らずな女、こっちから願いげだ!」

「浩司、もうきましょう」 義母が勝ち誇ったような笑みを浮かべ、夫の腕を取った。 「こんなげのない女、相にするだけの無駄よ。織さんが待ってるわ。あの子、個に入れないってったら泣いちゃうかもしれないじゃない」

「ああ、そうだな。真由美、悔しても遅いからな」

夫は吐き捨てるように背を向け、股で歩きした。 バタン、と響きのような音をてて病のドアが閉まる。

部のに、再び静寂が戻ってきた。

腹部のモニターが、トクトクトクと規則な音を刻み続けている。 私の拍数はねがっていたが、赤ちゃんのリズムは驚くほど穏やかだった。

「……守るからね」

私は震える指先で、お腹をそっと撫でた。 「お母さんが、絶対に守るから」

夫と義母の音がざかり、完全に静まり返った病で、私はサイドテーブルに置かれたスマートフォンをに取った。

画面には、何件かの通が届いていた。 夫との毛なやり取りの最に届いていたものだ。

そのに、私の会社『メディ・リンク・インターナショナル』の財務総括を担当している佐々からの緊急メッセージがあった。

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佐々は私が創業した初期からの腕で、実務のすべてを把握している優秀な女性だ。 私が切迫産で入院したため、社内の最終決済はすべて佐々に権限を委任していた。

メッセージのプレビューに表示された穏な文字列に、私は眉をひそめた。

画面ロックを解除し、メッセージアプリをく。

『代表、静に変申し訳ありません。至急ご確認いただきたい事件が発しました』

画面をスクロールする。

『先ほど、皮膚科クリニックの事務より、来度の包括業務委託契約に関する「覚」が方にファックスで送られてきました。 内容があまりにも異常です。 現の委託費用を【律50%カット】とし、さらに来クリニック内に設される予定の「審美メディカルアートメイク部」における国患者の問診・通訳・トラブル対応を【追加費用なしの無償】で包括業務に含めると記載されています。 事務に話で確認したところ、「院(浩司先)から、代表である奥様とはすでにで済みだと聞いている。来期からはこの条件で類を巻き直すように指示された」と主張しています。 代表、本当にこのような条件を承されたのでしょうか? 当社の現の稼働リソースから考えて、この減額と業務追加を受け入れれば、現の通訳スタッフの与すら賄えず、完全な赤字案件となります』

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