"泥棒猫と呼ばれた令嬢の即日破談" 第8話
「の限界を見誤ったのは、そちらの方よ」
芹は窓のを見つめながら、氷のようにややかな声で呟いた。
ハイヤーは丸の内にある塚ホールディングスの本社ビルへと滑り込んだ。 階建ての代な超層タワー。エントランスをくぐると、警備員や受付嬢たちが斉に直で礼を尽くす。芹は優雅に会釈を返しながら、役員専用のエレベーターへと乗り込み、最階の執務フロアへと向かった。
エレベーターの扉がくと、そこにはすでに初老の紳士が待していた。 仕ての良いスリーピーススーツを着こなした髪混じりの男性。塚グループの最法務顧問を務める、佐伯弁護士だった。
「本部、お戻りをお待ちしておりました。先ほど座の旗艦より、緊急の報告ががってまいりましたが……」
佐伯は鏡の奥の鋭い目を細め、静かに尋ねてきた。そのには、タブレット端末が握られている。
「報告通りです、佐伯先。私の個な婚約者とその母親が、当のフロアで極めて適切な騒を起こしました」
芹は歩みを止めず、自の本部へと入る。佐伯がそのに続き、な扉が音もなく閉ざされた。
「映像と音声のログはすでに確認いたしました。言語断の愚ですね」
佐伯の声には、塚に仕えてきた者としての静かなりが滲んでいた。
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「当社のブランド価値を著しく傷つける営業妨害為であると同に、本部個、ひいては塚会に対するな侮辱・名誉毀損に該当します。法にあらゆる対抗措置を講じることが能です」
「ええ。ですが、事を荒てて公の裁判汰にする必はありません。あの親子に、社会な責任と銭な代償を、規約と法に基づいて切の容赦なく支払わせてください」
芹はデスクの革張りの子に腰掛けると、徹なビジネスの顔に戻って指示をした。
「まず、帝国ホテルで予約していた結婚式のキャンセル続きを直ちにさせてください。私の名義で支払っていた予約および内の引き揚げ、ならびに発する違約の請求続きを」
「承いたしました。確認いたしましたところ、挙式予定までヶを切っております。規約、キャンセル料は総額のパーセント、額にしておよそ百万円にります」
「私の側の招待客に関する費用や、個なドレスの付けについては、こちらの座から相殺して構いません。しかし、郎側が指定したオプションや、彼らの親族のために押さえていた特別の違約、そして式全体の基本キャンセル料の折半分に関しては、円たりともこちらで負担しません。
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すべて郎である智也さん個へ請求してください」
「解いたしました。内容証郵便にて、週け曜の午着で発送配をいたします」
「それから、婚約指輪についてです」
芹はの薬指に線を落とした。そこには何も嵌められていなかった。 智也が「料のヶ分を奮発した」と得げに語り、資系ジュエラーでオーダーメイドしていたダイヤモンドのリング。まだ付しか支払われておらず、受け取りは来の予定だった。
「あの指輪の付に関しても、私は切関しません。彼が勝に私のサイズでオーダーしたものですから、受け取る気もありませんし、残の支払いを肩代わりする理由もありません。ジュエラー側へも法務部から連絡を入れ、今のやり取りはすべて智也さん個と直接うよう通達してください」
「承いたしました。……それと、お母様である雅代氏についてはいかがなさいますか?」
佐伯がタブレットの画面をスクロールさせながら尋ねた。
「あの女性は、当メゾンのVIP会員として登録されておりました。の購入履歴を見る限り、息子さんのカードやご自の見栄のためのローンを用されていた形跡がございます」
「規約通り、即刻ブラックリストへ登録し、会員資格を永久剥奪してください。
当グループが運営する国内すべてのブティック、系列百貨の商部に対しても報を共し、ち入り禁止の措置を取ります」