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"泥棒猫と呼ばれた令嬢の即日破談" 第2話

芹と智也が会ったのは、半のの紹介だった。智也は当たりこそ良かったが、どこか自分をきく見せようとする癖があり、事あるごとに自分の収や会社のネームバリューを誇らしげに語る男だった。芹はただ、相の性そのものを見極めようと、自分の庭環境や柄についてはあえて詳細をかさず、都内の輸入商社に勤める般な会社員として接していた。

それが雅代の目には、「息子の収入に群がってきた、元の怪しい貧相な女」と映っていたのだ。

雅代は歩、また歩と芹に詰め寄り、差し指を彼女の胸元へと突きつけた。その爪にはけばけばしいネイルアートが施されていた。

「親にそう教わったのかしらね? 若いうちに持ちの男を捕まえて、玉の輿に乗って楽をして暮らしなさいって。みっともないったらありゃしないわ。親の顔が見てみたいものね。どうせろくな教育も受けさせずに、男を誑かす練管ばかりを仕込んだんでしょうけど」

親への侮辱。その言葉が雅代のい唇から零れ落ちた瞬、芹の瞳の奥で、静かに何かがえ切った。

りで声を荒らげることも、涙を浮かべて取り乱すこともしなかった。ただ、それまで相を婚約者の母親としてて、辛抱く受け流してきた理性という名の防壁が、音をてずに完全に引き払われただけだった。

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芹の背筋はすっきりと伸び、そのち姿は彫像のように揺るぎない。彼女がをこうとしたその刹、フロアの奥から緊迫した音がづいてきた。

奥のVIPサロンから現れたのは、仕ての美しいスーツを着こなしたこのブティックのだった。のろには、フロアマネージャーとしき数名のスタッフが、青ざめた面持ちで控えている。

雅代はその姿を見るや否や、勝ち誇ったように唇を吊りげ、に向かって仰に招きをした。

「ああ、さん! ちょうどいいところに来てくれたわ。このも落ちたものね、こんなの程らずの万引き予備軍みたいな女をふらふらと内に入り浸らせておくなんて。のお客様の迷惑でしょう? くこの女をつまみしてちょうだい。私のようにちゃんとおを落とす客がないをしているのよ!」

雅代は完全に勝利を確信していた。自分が正義であり、なりの控えめな芹が悪として排除されるのだと、疑いもしていなかった。

しかし、は雅代のヒステリックな喚き声を完全に無し、で芹の正面へとみた。そして、これ以ないほど々と、腰を度に折って最敬礼を捧げたのだ。背に控えていたスタッフたちも斉に、寸分の狂いもない見事な礼を取る。

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は顔をげると、畏怖と敬の入り混じった、極めて丁な声で言葉を紡いだ。

「お嬢様……いえ、本部。いらっしゃいませ。事にご連絡もいただかず、お迎えもできませぬまま変失礼いたしました。本は舗の察でいらっしゃったのでしょうか?」

内に、張り詰めた静寂が落ちた。

空気が凍りついたとはまさにこのことだった。雅代の勝ち誇った笑みが、そのまま顔の筋肉ごと直していた。見かれた目は信じられないものを見るように痙攣し、元からはをなさないかすかな空気が漏れしていた。

「ほ、本部ですって……? 誰が? この子が……? な、何を言っているのよさん、冗談なら笑えないわよ! この女はね、うちの息子の稼ぎを当てにして擦り寄ってきた、しがない平社員の女なのよ!?」

取り乱した雅代が叫び声をげた瞬、はそれまでの柔な接客用の仮面をかなぐり捨て、徹極まりない差しを雅代へと向けた。その声音はく、しかしフロアの隅々まで染み渡るような威厳に満ちていた。

「お客様。当でそのような無礼極まりないお言葉は、断じてご慮いただけますでしょうか」

「な、なんですって……? 私にそんなを利くの!?」

「ええ。お客様が侮辱されておりますその方は、当ブランドの本国内における独占輸入元であるグループ本社の、代表取締役会の娘であらせられます。

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