"恩人面する夫の47分" 第9話
いえ、藤原浩司さん。あなたが先代の残された藤原精をい物にするは、先ほどをもって終しました」
本弁護士が歩にて、鞄から取りした通の通を夫の目のに掲げた。
「藤原浩司氏に対する、取締役解任請求および臨株主総会の招集通です。株主である藤原由美氏の議決権使により、あなたの代表権および取締役の位は、の総会をもって法に剥奪されます」
「う……あ……」 夫の喉から、言葉にならない呻き声が漏れた。
「また、会社の資流用に関する特別背任、ならびにの先代逝における保護責任者遺棄の疑いについて、警察への告発状の提準備をめております」
本先の宣告は、容赦なく夫のにり注いだ。
夫はに額を擦り付けるようにして崩れ落ちた。 乱れた髪、涙とでぐしゃぐしゃになった顔。 かつて部たちを引き連れ、妻を「無な飯炊き係」と罵っていた男の面は、どこにもなかった。
私はその姿を見ろしながら、コートのポケットにを入れた。 指先に触れる、たく、固い属の触。 父の万。
お父さん。 もうしで、あなたの会社が、あなたの所に戻ってきます。
でも、私の胸の奥に広がっていたのは、勝利の歓などではなかった。
え切ったの朝のような、果てしなくい静寂と。
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そして、これからあの男のから語られるであろう、あの、父が迎えた最の瞬の真実に対する――耐え難いほどの痛切な予だけだった。
翌朝の臨株主総会と役員会は、号すら起きないまま、事務な続きだけで幕を閉じた。
会議のテーブルの央に座った私は、株主として、淡々と議決権を使した。 藤原浩司の代表取締役解任。 取締役からの除名。 そして、伊藤美穂の懲戒解雇と損害賠償請求。
取り巻きだった役員たちは、のひらを返したように私に々とをげ、浩司との関係を々に否定した。 美穂は警察の任同に応じたまま、すでにこのにはいなかった。
浩司は、会議の端に置かれたパイプ子に、抜け殻のように座り込んでいた。 ネクタイは曲がり、級だったはずのスーツは皺だらけで、言の弁もにできなかった。
役員たちがり、部に残ったのは、私と本弁護士、さん、そして浩司のだけだった。
のい差しが、会議のたいブラインドの隙から差し込んでいる。
私は席をち、浩司ののテーブルに、のあの類を置いた。 京消防庁の記録と、佐々さんの帳のコピー。
「浩司さん」
浩司が、ビクッと肩をねげた。 濁った線が、恐る恐る私に向けられる。
「会社法の特別背任や横領については、本先と警察が続きをめています。
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……でも、ここにあるのは、そういう話ではありません」
私の声は、く、波たず、どこまでも澄み切っていた。
「の1118。1810分頃、あなたが社に入った……父は、まだ息をしていましたね?」
沈黙が落ちた。 部のの空気が、張り詰めた氷のように張り詰めていく。
「……っ」 浩司は喉の奥を鳴らし、固く目を閉じた。 唇を噛みしめ、両でを抱え込む。
「……息は、あった」
掠れた、震える声だった。 、この男のから決して零れ落ちることのなかった、真実の欠片。
「に倒れて……胸を押さえて、荒い呼吸をしていた。苦しそうに、何かを言おうとしていた」
本弁護士が、静かに帳にペンをらせる。 さんは唇を真文字に結び、拳を震わせていた。
「どうして、すぐに119番を押さなかったの?」 私の問いかけは、静かだった。鳴ることも、取り乱すこともなく、ただ事実だけを求めていた。
「……怖かったんだ」 浩司の声が、涙混じりにずった。
「そのの昼、親父さんから話があったんだ。『夕方に話がある。おが原材料の仕入れで抜いているマージンの証拠が揃った。来週曜に監査を入れる』って……。俺は、証拠を奪い返すために、あのに戻ったんだ」
「部に入ったら、父が倒れていた」
「ああ……。最初、臓発作だってすぐに分かった。でも……でも、親父さんの机のに、あの赤いファイルが置いてあるのが見えたんだ。
俺の正をまとめた類が……!」