"夫の賞与を全額カットした私に残された離婚届" 第17話
皆が彼を「妻のコネでのしがった男」と呼んだ。
彼は決して反論しなかった。
ただ私が夜まで残業する夜には必ずかりを残し、スープを温めてくれた。
彼は決してこんなに苦労しているとは言わなかった。
君は僕に借りがあるとも言わなかった。
彼は何も言わなかった。
るも何も言わなかった。
ただ1枚のカード、1枚の婚届、そして「末永くお幸せに」という言葉だけを残して。
私はそのキャッシュカードを枕のにしまい、仰向けになって井を見つめた。
「修」
私は暗ので彼の名を呼んだ。
「待ってて。私がやるべきことを全部終わらせたら、迎えにく。世界の果てまで逃げたって、必ず見つけしてやる。今度は私が、君のパートナーになる番よ」
返事はない。
窓ののはまだるく、くからのが潮のりを運んできた。
私は目を閉じた。
今夜は眠れそうだった。
翌朝7、私は会社に到着した。
9から取締役会の緊急会議。
私は川圭の証拠のデータを、会議のきなスクリーンに投した。
録音データ、スクリーンショット、の細、監カメラの記録。
1ページ、また1ページとめくっていく。
会議は針音すら聞こえるほど静まり返っていた。
塚取締役の顔は赤からへ、そして青へと変わっていった。
佐々取締役はをけたまま塞がらない。
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塚取締役が震える声で尋ねた。
「この川圭という男が、うちの3分のデータを盗んだというのか」
私は静に答えた。
「はい。SQプロジェクトのコアアーキテクチャは、彼が全て競社に売却しました」
私はスクリーンを指差した。
「だからこそ、相側はあの7つの技術欠陥をピンポイントで指摘できたのです。彼らはすでに私たちのの内をっていた。私たちをいじめているのではなく、私たちがぬのを待っていたのです」
会議は騒然となった。
私はをげて、全員を静めさせた。
「川圭についてはすでに警察がいています」
私は役員たちを見回して宣言した。
「プロジェクトの件については、森田がチームを率いて朝倉修が残した技術ドキュメントを再解析しています。彼らには2ヶの猶予を与えました。ドイツの提携先には法務部から内容証を送らせました。貴社が当社の営業秘密を違法に取得した疑いがあるため、契約解除と仲裁を申してると」
私はきっぱりと言い放った。
「8億円の違約は払いません。払うべきなのは、川圭の方です」
私はノートPCを閉じた。
会議にはい沈黙が流れた。
やがて塚取締役がをいた。
昨の声とは全く違い、気まずさと枯れた響きが混じっていた。
「社、その朝倉修くんは……」
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私は彼の言葉を遮った。
「私の夫です」
私は胸を張って続けた。
「そして、この会社の真の技術コアです。彼は問題を発見し、私に伝えようとしましたが、私は聞き入れませんでした。これは私の失態です」
私は声をしだけらげた。
「しかし、彼が残した証拠がこの会社を救いました。この件については改めて、取締役に正式にご説します」
私はちがり、PCを持ってドアへ向かった。
ドアのところでち止まり、振り返らずに言った。
「それから塚取締役。昨おっしゃった『内経営はいかん』というお言葉、同いたします」
私はドアノブにをかけた。
「今から技術部を含む全ての役職の採用において、コネは切考慮せず、能力のみを基準とします。ただし、いつか朝倉修が戻りたいと願うなら、彼の席は永に用しておきます」
私はドアをけてにた。
廊はとても静かだった。
エレベーターホールにき、りボタンを押す。
スマホが震えた。
SMSだ。
見らぬ番号。
『はるか、警察に通報したのか』
圭だ。
私はそのを3秒見つめ、文字を打ち返した。
『震えて待ってなさい』
送信し、その番号を着信拒否にした。
エレベーターが到着し、ドアがく。
乗り込むと、りていくエレベーターのステンレスのドアに映る自分の姿を見た。
真っ赤なリップ、縁メガネ、糸乱れぬ髪。
3、廊でドアを叩いて泣き崩れていたあの女とは別のようだった。
いや、同じではない。