"夫の賞与を全額カットした私に残された離婚届" 第9話
しかし、私にはっきりと見えていた。
彼らがうつむいているのは申し訳ないからではない。
彼らの目のにあるものを、私に見せたくないからだ。
そこには修に対する同、私に対する満、阻害、警戒、そして声なき集団な抗議があった。
彼らは沈黙を通して私に伝えているのだ。
はるか、あなたには資格がない。る資格も、引き留める資格も、ここにって問い詰める資格もないと。
私は急にひどく疲れた。
肉体な疲れではない。
骨の隙から滲みてくるような疲れだ。
私はずっと、この会社は私のものだとっていた。
私の言うことが絶対で、私が指差す方向にみ、私がていけと言えば誰でもていくものだと。
今、私は自分が違っていたことをった。
会社は私のもので、ビルも私のもので、デスクもPCも私のものだ。
しかしのは違う。
修はり、技術部全体のも持っていってしまった。
私に残されたのは、デスクに座る20以の抜け殻と、息苦しいほどの沈黙だけ。
私は腰をかがめ、ダンボール箱を抱え直し、背を向けてていった。
誰も私を呼ばない。
誰も「社お疲れ様です」と言わない。
私のろにあるのは、く、く、コンクリートのように固まった静けさだけだった。
社に戻り、ダンボール箱をソファに置いた。
骨を抜かれたように子に崩れ落ちる。
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私はあのさなサボテンをく見つめた。
蛍灯ので、あの歪んだスマイルマークがやけにトゲトゲしく見える。
彼は私を笑っている。
絶対に私を笑っている。
「社の絵、すごく抽象ですね」
彼はあのそう言って、歯を見せて目をのようにして笑ったのだ。
目を閉じ、のひらに顔を埋める。
泣くな。神崎はるか。泣くな。
昨晩晩泣いただろ。もう分だ。
私は3回呼吸をしてを押し殺した。
そしてデスクののサボテンを窓辺に移し、しをやった。
どうしてこんなことをするのか自分でも分からない。
ただ、彼がまだきているからかもしれない。
全てのものが私かられていくこのどうしようもない々ので、なくとも彼だけはきている。
息をつく暇もなく、スマホが鳴った。
見らぬ番号。
局番は野。
実だ。
私は2秒躊躇した、話にた。
「もしもし」
黒板を爪で引っかくような、甲く攻撃な女性の声。
すぐに分かった。
朝倉だ。
修の3歳の妹で、野の学で国語の教師をしている。
私は最初からこの女が嫌いだった。
初めて会ったからずっと。
結婚、彼女は京へ私の「察」に来た。
終始ソファでを組み、まるで罪を尋問するような目で、私をからつま先まで3回も見ろした。
そして修にこう言ったのだ。
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「お兄ちゃん、この女は支配欲がすぎる。で痛い目を見るよ」
修はそのを取り繕い、「馬鹿なこと言うな」と言ったが、の私を見る目はそれ以来変わらなかった。
彼女は私が彼にふさわしくないとっている。
彼女の兄は才で、世界で1番素らしい男であり、私はただ実が持ちだから社になれただけの飾り物だとっている。
彼女は、私が兄を奪ったのだと。
私は見らぬと話すようにたく答えた。
「何か用?」
は声を荒げた。
「用ならありよ!」
の声のボリュームが急に8オクターブがり、尻尾を踏まれた猫のように叫んだ。
「はるか、お兄ちゃんをどこにやったの?あんたが監禁してるんでしょう!」
私は呆れて笑いそうになった。
「、被害妄もいい加減にして。なんで私があなたのお兄ちゃんを監禁するのよ。何のために」
はさらに声を張りげた。
「しらばっくれないで!」
彼女の叫び声でスマホのスピーカーがビリビリと震える。
「お兄ちゃんから3も連絡がないの。3よ!今までこんなこと1度もなかった。毎必ず1件はメッセージを送ってくれてたのに、スタンプ1つでも。絶対にあんたよ!」
彼女はまくしたてた。
「この、お兄ちゃんがあんたとあの男が浮気してるのを見つけて、逆ギレして何かしたんでしょう!」
私は机を激しく叩いた。
コーヒーが揺れてしこぼれる。
「黙りなさい」
私はい声で凄んだ。
「、ご飯は適当にべてもいいけど、は慎みなさい。