"二十八年の遺言、追放された妻" 第10話
担保。
夫は、若い頃から、実を自分の借のカタにしてを用てようとしていたのだ。
『健様は髪でそれに気づき、の抵当権設定を阻止されました。そして、「このままではあいつがを担保にして族をに迷わせる」と確信し、名義をすべて由美様へと移されたのです。その面の最には、こう記されています』
相馬先は、語語を噛み締めるように読んだ。
『――由美さんがこのをとうが来たならば、売るも残すも、すべて由美さんの自由志に委ねるものとする。正にしする権利は切ない』
涙が、静かに頬を伝った。
義父は、もから分かっていたのだ。
いつか、息子の愚に私が耐えかねるが来ることを。このを捨てり、自分のを取り戻したくなるが来ることを。
そのための武器を、義父はに私に遺してくれていたのだ。
「相馬先……その面のコピーを、見せていただけますか?」
『もちろんです。今すぐ事務所へお越しいただけますか?』
「はい、すぐ伺います」
通話を切ると、私のスマートフォンが再び震えた。
正からのメッセージだった。
『今の夕方半、翔太たちも呼んだ。修(義弟)たちも来る。族全員で話しいたいから、必ずに戻ってこい』
私は画面を見つめ、静かに息を吐いた。
族全員。
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私を裏切り、私を排除しようとしたたちが、登記の事実をった途端に「族」として群がり、私を説得しようとしている。
私はく返信した。
『夕方、伺います』
すべてを終わらせるために。
午半、相馬司法士事務所。
私は相馬先から渡された、経劣化で黄く変した義父の直面と、当の借入細の写しをじっと見つめていた。
震える跡でかれた、義父の署名と捺印。
そして、その横には、紛れもなく夫――正の自署と実印が押されていた。
「夫も……この面のを、っていたのですね」
『はい。作成のに同席し、署名捺印しております。らなかったはずがありません』
っていたのだ。
自分が親に借を肩代わりしてもらい、相続権を剥奪され、が妻の名義になったことを、すべてっていたのだ。
それでもなお、昨の夫は「俺のだろ」「男に譲るのが普通だ」と平然と言い放った。
忘れたのではない。の平穏にかまけて、自分の都のいいように記憶を改ざんし、嘘を真実だとい込んでいただけなのだ。
さらに、産会社から届いた最の査定をいた。
駅の再発がんだことで、の資産価値はねがっていた。自宅の建物、そして隣接する駐用のをわせると――。
概算売却価格、約千百万円。
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息が止まりそうになった。
千百万円。
夫と息子は、この莫な資産を、名義である私に言の相談もなく、「族だから」という甘えた言葉でからへかそうとしていたのだ。
「相馬先。類のコピーをすべていただけますか?」
『かしこまりました。法に必な続きの委任状も、すべて準備しておきます』
夕方半。
晩のたいが、ポツリポツリとり始めていた。
私はタクシーをり、暮らしたがの玄関扉のにった。
玄関には、見覚えのある靴が何も並んでいた。正の革靴、息子のスニーカー、美咲さんのパンプス、そして義弟の修とその妻の靴。
引き戸をけると、リビングから押し殺したような話し声が漏れ聞こえていた。
「ただいま戻りました」
私がリビングのドアをけると、内の会話がピタリと止まった。
苦しい沈黙が、部を支配していた。
ダイニングテーブルを囲むように、正、翔太、美咲、そして義弟の修とその妻が座っていた。全員の線が、斉に私へと突き刺さる。
正がちがり、咳払いをつした。
「……座れよ、由美」
私は空いていたの子に、音をてずに腰をろした。ハンドバッグを膝のに置き、背筋を伸ばして全員を見渡す。
正が、どこか取り繕ったような、ぎこちない笑みを浮かべてをいた。
「昨のことは……俺もし言い方が悪かったとってる。反省してるよ」
私は何も言わず、ただ夫の目を見つめ返した。
「だがな、やっぱり翔太たちも悪気があって言ったわけじゃないんだ。