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"二十八年の遺言、追放された妻" 第9話

私はく息を吸い込み、氷のように徹な声で答えた。

「ええ、売却の志はあります」

『様でございますか! それでは――』

「ただし。夫は切通さず、私とだけ直接やり取りをしてください。夫には何の権限もありませんので、今、夫からの連絡はすべて拒否してください」

『……かしこまりました。それでは、改めて査定を作成の、由美様にご連絡いたします』

通話を切ると、私は暗い部ので窓のの夜景を見つめた。

もう、迷いはなかった。

あのは、売る。

夫のためでも、息子のためでもない。

私が、私の残りのを、私ので歩き直すための資として。

翌朝、事態はさらに予もしない巨な展を見せることとなった。

午半、司法士の相馬先から、切迫した声音で話がかかってきたのだ。

『さん、今およろしいでしょうか?』

「はい、相馬先。どうされましたか?」

『昨お話ししたご自宅の件ですが、先代が残したの過の事件記録や付属類をすべて倉庫から引っ張りして、徹底に確認いたしました。……そうしましたところ、極めてな事実が点判いたしました』

「な事実……?」

相馬先は度言葉を切り、々しく告げた。

『まず点目です。様の名義になっているのは、現おまいのご自宅の敷と建物だけではありません。

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ご自宅に隣接している、約坪のもまた、由美様の単独名義となっております』

「え……? 隣の?」

私は眉をひそめた。

「隣のって……現、夫の弟が極駐として使っている、あの更ですか?」

『はい、まさにそのです』

息が止まりそうになった。

あのは、正が「弟の修が駐経営をやりたいって言ってるから、使わせてやってるんだ」と言っていた所だった。私はてっきり義弟が自分で借りているか、正の親族の共なのだとばかりっていた。

それが、私の名義だったなんて。

「それから……点目です」

相馬先の声のトーンが、さらにく沈んだ。

『、お義父様である健様が、このと隣接を由美様に贈与された本当の理由についてです。様は、ご主の借から守るためだと仰っていましたね?』

「ええ、お義父さんからそう聞かされていました」

『それだけではなかったようです。健様は当、通の直の面――公正証遺言に準ずる覚を、事務所に残していらっしゃいました』

「……何といてあるのですか?」

相馬先は、息を呑む私に向かって、類の文面を淡々と読みげた。

『――正には、このおよびを切相続させない。理由は、度なる事業投資の失敗と無断借財の悪癖が改善されておらず、族の活を著しく脅かすためである』

全から血の気が引いていくのをじた。

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義父が、実の息子に対してそこまで峻烈な言葉を遺していたなんて。

「……投資の失敗と、借財……ですか?」

『はい。記録によりますと、当、正様は周囲に無断で先物取引や怪しげな事業投資にをし、額の債務を抱えていらっしゃいました。当の額で、約千百万円です』

千百万円。

くの千百万円といえば、現の貨幣価値に換算すれば倍いみのある、途方もないだ。

「そんな借……私、度も聞いたことがありませんでした……」

『ええ、健様が由美様にだけは絶対にらせるなと止めされていたようです。婚々の由美様に苦労をかけたくない、息子の始末で嫁を絶望させたくないという、健様の必の親だったのでしょう。健様がご自の私財を投げ打って、その千百万円を内密に肩代わりして完済されたのです』

胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。

無で、を表にすことのなかった義父の顔がいされた。いつも縁側でお茶を静かにんでいたあのが、裏でそれほどのを被り、私を守ろうとしてくれていたのだ。

『そして、健様が名義を由美様に移された最の理由は……正様が、過に度にわたって、健様に無断で実を担保に入れて追加融資を引きそうとしていたからなのです』

背筋をたい氷が滑り落ちていくような悪寒がった。

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