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"認知症の父がベッド裏に隠したノート" 第7話

信助さんは元々血圧がめだったようですので、血管の管理をい、抗血板薬などで再発を予防することが治療の主軸となります。今もさな発作が起きるたびに、症状が段階にしていく能性がいと考えてください」

容赦のない現実の宣告に、私の目のが暗くなった。 しかし、その苦しい沈黙を切り裂いたのは、隣に座っていた母の、あまりにも淡で事務な言だった。

「先、ということは……もう施設に入れるべきでしょうか?」

臓がねがった。 私はわず息を呑み、デスクので母の太ももを自分の膝でく突いた。父本がすぐ目のに座っているというのに、なぜそんな骨で残酷な質問を平然とにできるのか。私は抗議の差しを母に向けたが、母は私の線など完全に無し、すがるような目で医師を見つめていた。

医師は僅かに眉をひそめ、カルテに線を落としながら慎に言葉を選んだ。

「……信助さんの、確かに脳血管性の病変は見られますが、現点ではの麻痺などのな運能障害がているわけではありません。ご自でトイレにもけますし、歩も自されています。事の摂取も問題ありません。医学な観点から申しげれば、現段階で即座に施設へ入所させるというのは、々期尚ではないかと私は考えます。

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昨今の社会勢を鑑みても、特別養護老ホームなどの施設は待者がく、すぐに空きがるわけでもありません。まずはご自宅で、デイサービスやショートステイなどをうまく活用しながら、庭内で様子を見られてはいかがでしょうか」

「でも先、で見ていて何かあったら困りますし……」

なおもいがろうとする母の言葉を、私は耐えかねて遮った。

「お母さん、もう先のお話は分に分かったでしょう。……先、詳しいご説をありがとうございました。族でよく話しってみます」

私はくをげ、父の背にそっとを添えてちがり、母と姉たちを促すようにして診察のへと連れしたのだった。

診察をて、会計窓のある広い待ロビーへとを踏みしたその、背からりの音が追いかけてきた。

「菜!」

振り返ると、診察に控えていた茜が息を切らして駆け寄ってきたところだった。茜は周囲を警戒するように素く線をらせると、何にもさく折りたたまれた枚のい切れを、私ののひらのへ滑り込ませるようにして無理やり押し込んできた。

「久しぶりに会えて、本当に嬉しかったわ」

茜はそれだけをで告げると、私の返事を待つこともなく、にナースステーションの自ドアの向こうへと姿を消していった。

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ち止まった私の横で、次女の絵里が怪訝そうに眉を吊りげた。

「何よ、今の護師。りい?」

「あ……うん。のの同級なの。さっきロビーで偶然会って、ぶりの再会だったから」

絵里は「ふーん」と興なさそうにを鳴らしたが、その瞳にはどこか探るようなたいが宿っていた。 会計の番号が掲示板に表示されるまでの、私は「ちょっとお洗いにってくるね」と母たちに断りを入れ、キャリーケースを預けてそのをれた。

トイレの個に入り、鍵をかける。く息を吐きしながら、ポケットから茜から渡されたさな切れを取りし、丁寧に折り目を広げた。 そこには、ボールペンでりきされた茜の個の話番号と、いメッセージが記されていた。

『菜へ。お父さんのことで、どうしてもあなたに聞いておきたいことがあるの。族には内緒で、連絡をちょうだい』

母や姉たちの目を盗むようにして、これほどまでに慎に渡されたメモ。 体、茜は何を言おうとしているのだろう。父の体に関して、医師ですらにできなかったな秘密でもあるのだろうか。 便座に腰掛けたまま、私は幾にもなる謎にを抱え、ただく首を傾げることしかできなかった。

病院での会計と薬の受け取りを終え、タクシーに乗って世田にある実へと戻った頃には、午の差しがに傾き始めていた。

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