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"境界の桜庭茶房 ~現代飯と国宝で、どん底から人生やり直します~" 第12話

万の民を救い、疫病を瞬くに鎮静化させたの役者が、このさな茶の主であることは、もはや皇帝のにも届いていた。

「より殿」 守が厳かな面持ちで、錦の箱を差しした。 「主より、君の功績を讃え、宮御用の銘茶器式、そして最峰の絹織物『幸運織』が賜された。さらに、君が望むならいつでも宮への参内を許す旨の鑑札がされている」 「そんな層なもの……私は、商売をして、目ののたちを助けたかっただけなのに」 「君が無私清廉であることは、皆がっている。だからこそ、主も君を無理に宮に縛り付けることはされず、この茶での商いを涯保障されたのだ。……受け取ってほしい」

箱をけると、吸い込まれるように美しい翡翠の茶器がを放っていた。 よりは静かに頷き、その温もりを受け取った。

晦の夜。 『桜庭茶』の格子戸には、音のによって鮮やかな『迎』の札が貼られていた。 厨の鉄板からは、現代の極牛ロースが焼けるジューシーな音が響き、キンキンにえたビールの泡がジョッキから溢れている。

「よりちゃん、帰ってきたぜ! きて戻ったぞ!」 扉を蹴破らんばかりの勢いで入ってきたのは、任務を終えた稲葉川だった。ろには、穏やかな笑みを浮かべた鳥従が続いている。

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「川さん、鳥さん! 無事でよかった!」 「当たりよ! よりさんの飯をうまでは、んでもにきれねえってな! うおお、この黄い泡の酒、喉越しがたまらん!」

「自分も、より殿の薬がなければ今頃どうなっていたか……より謝申しげます」 従が々とをげ、川と並んで々の焼肉を頬張った。

内には、茂蔵と音、そして守が座になって座っていた。 「お姉ちゃん、お蕎麦できた?」 「ええ、越し蕎麦よ。細くく、皆が健やかに過ごせるようにね」

汁の利いた温かい蕎麦が全員に配られる。 守が蕎麦を啜り、ふっと元を緩めた。 「……沁みるな。今も、実に目まぐるしいであった」 「本当にね。最初は祖父の遺品理のつもりだったのに……まさかこんなことになるなんて」

よりが笑うと、音がそのにそっと自分のをねた。 「私、こより姉さんとずっと緒にいられて幸せ。来も、その先も、ずっとこのおでお伝いするんだから」 「ええ、ずっと緒よ、音」

守が静かによりを見つめ、盃を傾けた。 「より殿。君がこの扉をいてくれたおかげで、救われた命が無数にある。……そして、俺自の命もな」 「守将軍……」 「来も、その先も。この茶と君の歩むを、が刃にかけて守り抜こう」

飾らない、けれど何よりもいその言葉に、よりの胸の奥がじんわりと温かくなった。

窓のを見げれば、異界の夜空には満のが瞬き、現代の裏からはく除夜の鐘の音がかすかにに乗って響いてくる。 かつて理尽にすべてを奪われ、孤独だった女は、つの世界を結ぶさな厨で、誰にも奪えない絆と居所をに入れていた。

「さあ、みんな、めないうちにべましょう」

湯気と笑顔に満ちた『桜庭茶』のかりは、る夜をどこまでも優しく照らし続けていた。

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