"妻の失踪から90日、誰かが場所代を払っている" 第1話
ポストの底に落ちていたその封筒を指で引き抜いた瞬、臓が度だけ、奇妙なね方配をした。
妻の里奈が姿を消してから、ちょうど目の夕暮れだった。
何の変哲もない、械に折り目をつけられた窓付きの圧着ハガキ。差は「株式会社ベイエリア管理サービス」。千葉美浜区にある、聞いたこともない産管理会社だった。
表面に印字されていた宛名は、私の名ではない。
『藤井 里奈 様』
喉の奥が、ぎゅっと縮みがる。 玄関のがり框に革靴のまま片膝をつき、震える指先で圧着ハガキの端爪をてて剥がした。糊が剥がれる乾いた音が、誰もいない静まり返った廊に異様にきく響く。
『極駐賃料 座振替能通』
印字された文字のが、すぐにはに入ってこなかった。 ……駐? 千葉?
契約物件:美浜岸第3モータープール 区画番号:127 対象:当分賃料 額: 16,500円 振替座残につき、指定期までにお振込み願います。
妻の座から引き落とせなかった、という事務な督促だった。
嘘だろ、と声がた。 妻はを持っていなかった。がにあるのは、私が通勤と休の買いしに使っている黒のフォレスター台だけだ。自宅マンションの械式駐は私の名義で引き落とされている。
そもそも、なぜ千葉なのか。
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私たちが暮らしているのは京都区のだ。職も活圏もこの・墨田エリアで完結している。妻の実は静岡の島だし、千葉に親戚などもいない。
何より、妻が消えたのはかののことだ。
あの、妻は自分のスマートフォンをダイニングテーブルのに置いたまま、わずかな現との回りのものを入れた普段使いのトートバッグだけを持って、忽然と姿を消した。
争った形跡も、荒らされた跡もなかった。 警察にもすぐに相談した。だが、成女性の自発な失踪とみなされ、事件性を示す証拠がない限り積極な捜索はできないと告げられた。
「置こそありませんが、携帯話を残して貴品だけをお持ちになっている。ご自ので距を置かれた能性が極めていです」
活全課の若い刑事は、同を滲ませながらもそう言った。 誰もがそうった。職の司も、妻の友も、私の母も。 里奈は自分ので、夫である私を捨てててったのだと。
だが、私だけはどうしても納得できなかった。 失踪する夜、夕の片付けを終えた妻は、濡れたをタオルで拭きながら私にこう聞いていたのだ。
「ねえ俊介さん。今度の週末、リビングのカーテン見にかない? 遮のやつ、そろそろしくしたいって言ってたじゃない」
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あんな常の約束をしておいて、翌朝に蒸発するがどこにいるのか。 私たちは結婚して目になる。きな喧嘩をした記憶もない。なくとも、私はそう信じ込んでいた。
それなのに、このハガキは何だ。 かの、妻の個の普通預座から、毎万千百円が引き落とされ続けていた。 今になって残が底をつき、契約者の所として登録されていたこの自宅へ、初めてこの通が届いたのだ。
考が追いつくより先に、指がいていた。 のキーを掴み、靴を履き直して部をびした。
首都速湾岸線を千葉方面へ向かう内、ハンドルを握る両には嫌な汗が滲んでいた。 フロントガラスの向こう、沈んでいく夕が業帯のクレーンを赤黒く染めている。
妻が、らない所で駐を借りていた。 それも、いなくなるから。 ……いや、もしかして誰かに連れられて、無理やりを置かされているのか? 犯罪に巻き込まれたのか? ので最悪の像が渦を巻いては消える。
関自の湾岸習志野インターをり、ナビの指示に従って埋の倉庫と古い団が入り混じる角へ入った。
そこは、岸線からし内陸に入った、の匂いだけが漂う殺景な所だった。 アスファルトの継ぎ目から雑が伸び放題になった、広な青空駐。
周囲を錆びたフェンスが囲んでいる。
をりると、のたいがシャツを吹き抜けた。