"妻の失踪から90日、誰かが場所代を払っている" 第13話
には、私が普段使っている通勤ルートの写真が入っていた。 直さんの仕業だと確信している。 俊介さんに相談しようとしたが、リビングで直さんと楽しそうに酒をんでいる姿を見て、声がなくなった。 このは、私の夫ではなく、直の兄でしかない。』
文字が、鋭い針となって私の球を突き刺す。
「……写真……?」
私の声が震えた。
「里奈が、つけ回されていた……?」
「そうよ。直は、里奈が借の詳細を暴こうとしていることにづいていた。あなたが毎回、ご親切に『里奈が配してるぞ』って直に報告するからよ!」
浦恵美がを乗りし、声を潜めながらも激しいりをぶつけてきた。
「あなたが弟に『善の仲介者』面をして報を漏らすたびに、里奈は自宅の周辺で直に待ち伏せされ、無言話をかけられ、精神にすり潰されていったの! あなたが直の共犯者だったのよ、俊介さん!」
のが真っになった。 鳴りが止まらない。
あの夜、妻が怯えた顔で私に何かを言いかけ、私が「考えすぎだ」と遮ったの、妻の絶望な瞳。 あれは、満ではなかった。 ぬほどの恐怖だったのだ。 すぐ隣にいる夫が、自分を脅迫しているに筒抜けで報を流しているという、底れない絶望。
「里奈はね、あなたを試したのよ」
浦恵美の声が、静かに落ちてきた。
「をる夜。
広告
彼女、あなたにしいカーテンを買おうって言ったでしょう」
「……あ」
「あれはね、最の賭けだったの。『もし俊介さんが、私と緒にしい部を作る未来を本気で考えてくれるなら、もう度だけ、で直と戦おう』って、私に言ってたわ」
私の目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。 喫茶のテーブルに、黒い染みが広がっていく。
「でも、その直にあなた何て言った? 『今度の週末は直のの棚卸しを伝いにくから、カーテンは来でいいだろ』って笑ったんでしょう?」
息ができない。 喉が痙攣して、空気が吸い込めない。
言った。 確かに、私はそう言った。 弟の仕事を伝うのが「いい兄」の務めだと信じ込んで、妻の最の命綱を、私のこので断ち切ったのだ。
「里奈は翌朝、すべてを諦めてをたわ。あなたと暮らしていたら、精神が壊れるか、借を背負わされて破滅するかの者択だったから」
「じゃあ……」
私は涙でぐしゃぐしゃになった顔をげた。
「……妻が千葉の駐に現れたのは、なぜなんですか? どうしてあんなを残したんですか?」
浦恵美はたい目で私を見つめ返した。
「あのは、私のりいの先輩から借りて、彼女が荷物を運びすためにに使っていたものよ。しい活の拠点が落ち着いたから、を返却するために千葉へったの。
広告
……でもその直、直がまたあなたの周りを嗅ぎ回っているという報が入った」
「……え?」
「直は、里奈が何かの類を持ちしたことをっていた。だから、必で彼女の取りを追っていたのよ。里奈は、いつかあなたが駐の督促ハガキを見つけて、現に来ることを予期していたわ。そして、あなたが真っ先に直に相談することを、底恐れていた」
『ここを見つけても、警察には言わないで。』 『特に、直には絶対にらせないで。』
あのの、真の。
「警察を呼べば、親族である直にも報が漏れる能性がある。そして何より、あなた自が直に居所を漏らすことを、彼女はぬほど警戒していたのよ」
浦恵美は帳を閉じ、酷な宣告をした。
「里奈はね、先、自治体に『DV等支援措置』の申しを受理されたわ」
「……支援措置?」
「民票や戸籍の附票の閲覧制限よ。配偶者やその親族からの暴力、脅迫から逃れるための制度。……法に、あなたとあなたの族は、里奈の現所を調べる権利を永久に剥奪されたの」
目のが真っ暗になった。
私は、妻にとって「失踪した妻を探す劇の夫」ではなかった。 法律によって、公に「接を禁止された加害者側」に分類されていたのだ。
「もう度と、里奈を探さないで。彼女はしいを始めているわ。あなたがやるべきことは、妻を探すことじゃない。
自分の犯した罪の落としをつけることよ」
浦恵美は伝票を掴み、ちがった。