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"妻の失踪から90日、誰かが場所代を払っている" 第7話

あいつは器用なだけで、悪い奴じゃない。俺の弟なんだぞ』

妻は絶望な目で私を見つめ、言ったのだ。 『お願いだから、度でいいから自分で信に確認して。私を信じて』

翌、私は直に話をかけた。 妻をさせたいだった。 『直、里奈がおの融資の通を見てがってるんだよ。お、勝に俺の名使ってないよな? ちゃんと説してやってくれよ』

あの、直は何と言ったか。

『あー……義姉さん、またそんなこと言ってんの? ひどいな、俺を棒扱いかよ。わかった、俺から義姉さんにちゃんと話しておくからさ。兄貴は気にしないで』

――私が、教えたのだ。

里奈が類の異常に気づいたことを。 里奈がの通を調べ始めていることを。 私は「を取り持つ優しい兄」の顔をして、無邪気に、残酷に、妻が握った武器をすべて直に密告していたのだ。

『俊介さん、聞こえてますか』

受話器から、え切った倉昌子の声が響く。

『里奈さんはね、もうあなたを信用していません。あなたが弟の共犯者だからです。……あのは、里奈さんが活の基盤をえるまでの稼ぎでした。もうしい居も決まって、も必なくなったから、私に返却するはずになっています。駐の解約も、彼女が自分でやるはずです』

「倉さん、待ってください! 里奈は……里奈は今、どこにいるんですか! 言だけでいい、謝らせてください!」

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『お断りします。彼女は法な続きをめています。もう度と、私にも、彼女の友たちにも連絡してこないでください』

プチッ、と通話が切れた。

ツー、ツー、ツー。 無質な子音だけが、狭いトイレの個に反響していた。

胃の底から、酸っぱいものが込みげてきた。 便器にをつき、荒い呼吸を繰り返す。

妻は、をしたのではなかった。 私の無神経さと、弟の悪から、命がけで脱したのだ。 そして、その脱を邪魔していたのは――ならぬ、私自だった。

*

そのの午、私は半休を取り、をらせて直のへ向かった。

直は埼玉県潮の業帯で、さな古自部品の買取・販売を営んでいる。 両親が婚した、母は私ばかりを頼りにし、直はをてから職を転々としていた。 弟がこのをくと言った、資を用ててやったのも私だ。 「兄貴、俺、今度こそ真面目にやるからさ」 そう言ってをげた弟の姿が、ずっと私の脳裏に焼き付いていた。

の敷には、事故や解体されたパーツが雑然と積みげられていた。 プレハブの事務所のドアをけると、属油とタバコの煙の匂いがをつく。

「お、兄貴。どうしたの急に?」

油で汚れた軍をしながら、直が奥からてきた。 屈託のない笑顔。昨、私のマンションでビールをんでいたと寸分違わぬ顔。

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「……直。ちょっと聞きたいことがある」

「何? 改まって」

「おののETCカードの履歴、見せてくれないか」

直の笑顔が、スッと消えた。

「……は? なんでそんなもん見せなきゃいけないの?」

「先のだ。妻が消えてから目。お、朝から晩まで『千葉の解体にパーツの買い付けにく』って言ってかけてただろ」

直の喉がいた。

妻が千葉の駐に現れたのは、。 その翌、に、直は千葉へっているのだ。

「それがどうしたんだよ。仕事だよ、仕事。何疑ってんの?」

「美浜の駐だろ」

私は歩、直に詰め寄った。

「お、あそこに里奈のがあるのをってて、見張りにったんじゃないのか?」

「いい加減にしろよ!」

直が声を荒らげ、スチール机をバンと叩いた。

「兄貴、おかしくなってんじゃないの?! 義姉さんがいなくなってテンパってんのは分かるけどさ、俺はずっと兄貴を助けてやってんだよ! 毎毎、仕事の縫って探してやってんのに、何でそんな言われ方しなきゃいけないんだよ!」

りをわにする弟の迫真の表。 いつもの私なら、ここで怯んでいたはずだ。 「すまん、俺がどうかしてた」と謝り、弟を宥めていただろう。

だが、今の私には、倉昌子のあの言葉が胸に突き刺さっていた。 『あなたが弟にチクるたびに、里奈さんがどれだけ追い詰められていたか』

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