みかん小説
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"存在しない306号室" 第12話

に暗の底で息絶えたは、司法解剖を終え、ようやくたいのからへと戻ってきた。

因は、体温症および砂とによる窒息。 解剖医の所見には、淡々とした事実だけが記されていた。 の遺体は、気の男性を囲むようにして折りなっていたという。 最奥部のわずかにくなったコンクリートの梁のに、怪を負ってけなくなっていた男性を押しげ、徒たちはに浸かりながら、夜を耐えていた。

爪のには、コンクリートを必に掻きむしった跡があった。 指の骨が折れていてもなお、壁を叩き続けていた形跡があった。

姉たちは、最期の瞬まで誰として見捨てず、助けおうとしていたのだ。

「……宮本さん」

置の廊で、私に声をかけてきたのは野県警の係だった。 には、に藤原先の自宅に届いた、あの黄ばんだ封筒が入った証拠品トレイが握られていた。

「この封筒の消印と、同封されていた片から検された微物……それと、郵便局の防犯カメラの映像を照した。差が特定できた」

「誰……ですか」

「当の同じ学の徒だ。修学旅で、教員の記録係補佐をしていた女子徒……覚えているかい。野遥さんという女性だ」

野さん。 記憶の底から、おとなしくて目たなかった同級の顔が浮かびがった。

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警察署の応接に入ると、そこには黒いスーツを着た女性が、膝のでハンドバッグを抱きしめるようにして座っていた。 歳。私と同じ齢。 彼女の目は赤く腫れがり、線はテーブルの目をじっと見つめたままかなかった。

「……ごめんなさい」

私が席につくよりく、彼女の喉から搾りすような声が漏れた。

「野さん、あなたが……この部割り表を?」

「私、あのの夜……見たの」 彼女の肩が、激しく震え始める。 「夜の半すぎ、をした子の部に体温計を取りにく途……階の渡り廊ので、田辺先が宮本さんたちを招きして、階の階段へ連れてくところを」

臓が、ぎゅっと締め付けられる。

「翌朝、がいなくなったって騒ぎになったとき……私、職員にいた教先と学主任に言ったの。『田辺先と緒に階にがっていくのを見ました』って。でも……」

彼女は両で顔を覆い、嗚咽を漏らした。

『見違いだろう』 『余計なことを言うな。保護者や警察が混乱する』 『あの子たちは、勝ににていってしまったんだ。おが責任を取れるのか』

歳だった彼女の言葉は、学という組織の分い壁によって、そので握りつぶされた。

「怖かった。自分が何か悪いことを言ったんじゃないかって……推薦入試を取り消されるんじゃないかって……何も言い返せなかった。

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……でも、旅のあと、職員の資料を片付けるときに、田辺先の机のゴミ箱に、丸めて捨てられていたあの表を見つけて……拾ってしまったの」

の名だけが、『306』にき換えられた表。

「、ずっと引きしの奥に隠してた。見るたびに、自分のさが怖くて、息ができなくなった。……先、楼が解体されるって元のニュースで見て、もう度と真実がなくなってしまうとって……藤原先に送ったの。名も名乗れない卑怯なやり方で……本当に、ごめんなさい……」

彼女の額が、テーブルに激しく打ちつけられた。 許しを請う涙が、類のにポタポタと落ちていく。

私は、彼女を責めることができなかった。 歳だった女に、の組織が仕掛けた同調圧力と隠蔽の責任を背負わせることなんて、誰にもできない。 悪いのは、子供の声を黙らせ、蓋をしたたちだ。

。 野県教育委員会との現理事会による、同記者会見がかれた。

県庁の会議には、無数のテレビカメラと記者が詰めかけていた。 の「無断による失踪」が、実は教員の違法な私指示と、旅館の違法建築放置、そして学側の組織な隠蔽によるものだったというスクープは、全国のニュースのトップを埋め尽くしていた。

檀に並んだのは、黒いスーツを着た教育、の現、そして法務担当の弁護士。

子に乗せられ、に包帯を巻いた田辺也の姿もあった。

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