"存在しない306号室" 第11話
あの子たちは、そこで、何をったのか。 が助けに来てくれるのを、どれほどの絶望ので待っていたのか。
現へのち入り許がりたのは、翌の朝だった。 型の吸引と発が旧館の脇に据え付けられ、分いコンクリートの基礎に、ダイヤモンドカッターの轟音が響き渡っていた。
解体業者のが、砂に埋もれていたピットの側壁を、慎に削り取っていく。 がい散る、野県警の特別救助隊員たちが、防護と酸素マスクを装着して部のに列した。
藤原先と私は、規制線のすぐ内側で、ヘルメットを被ったままその景を見つめていた。 がち込める肌から、たいが吹きりてくる。
午分。 コンクリートの壁が、ガバリと音をてて内側へ崩れ落ちた。 いた穴の奥から、密閉されていたとヘドロの、烈な腐敗臭が吹きしてくる。
隊員たちが、力なサーチライトをに、ずつ暗のへと消えていった。
静寂が支配する現。 のエンジン音だけが、アイドリングのい唸りをげている。 分。分。分。
突然、の奥くから、鋭いホイッスルの音が響き渡った。
ピィィィッ――。
く、回。 者の捜索ではなく、遺留品の発見を告げる図。
私の膝が、ガクガクと震え始めた。
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藤原先が私の腕をく掴む。そのもまた、氷のようにたかった。
部から、だらけになった救助隊員がいがってきた。 両には、青いビニールシートに包まれたプラスチックのコンテナが抱えられている。
鑑識課の係が駆け寄り、シートをめくった。 無線で本部へ連絡を入れる声が、に届く。
「……骨片、および所持品を複数確認。第発見現は、ピット最奥部、本館連絡壁の約メートル点」
係が、い袋を嵌めたで、コンテナのから何かを持ちげた。
で茶く染まった、さない塊。 女子用の、幅の細いスニーカー。 サイズは、・センチ。 側面のラインは、姉がの入学祝いに父に買ってもらった、アシックスのものだった。
そして、そのから引きされたのは、ボロボロに引き裂かれた、濃紺の布だった。
の指定ジャージの、胸の部分。 に浸かり、繊維がほつれていても、の刺繍糸で縫い付けられた文字は、はっきりと残っていた。
『宮本』
「……織」 藤原先が、そのに崩れ落ちた。 がねるアスファルトに両を突き、声をげて泣き崩れる。
私は、泣けなかった。 ただ、その布を見つめていた。 、たいので、真っ暗なので、姉はずっとここにいたのだ。 族が世の目に怯え、肩を縮めてきていた、姉はここで、息を引き取っていたのだ。
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再び、からホイッスルが鳴った。
今度は、隊自らがまみれのヘルメットを脱ぎながら、へとがってきた。 そのには、を通さないの透なジップロックが、切そうに握られていた。
隊は私のまで歩み寄ると、静かに、く礼した。
「宮本さん。……これが、最奥部で、のご遺体のに置かれていたものです」
差しされたジップロックの透なビニールの向こう。 から守るように、何にもサランラップで巻かれたさな塊があった。
番に見えたのは、枚、綺麗にねられたプラスチックのカード。 野県の、分の徒帳だった。
顔写真の姉は、真っ直ぐにカメラを見つめていた。 歳のまま、しも老いずに。
そして、徒帳の束のに挟み込まれていたのは、に濡れて文字が滲みかけた、修学旅のしおりの最のページだった。
メモ欄の余に、青いボールペンで、激しく震える跡の文字が並んでいた。
『先は確認したら戻るって言った。健太が、奥でが挟まれてるって言ってる。私たちで、見にってきます』
その。 ペンのインクがかすれ、が破れそうになるほどい圧で、最に付け加えられた、たった。
『遥、お産、買えなくてごめんね』
つのい骨壺が並んだのは、野県警町署の置だった。
の徒と、代の親方だった気の男性。