"母が消える直前の電話は、警察宛てだった" 第7話
父が唯、を許していたと言われていた同僚だ。
公衆話から、津田さんの自宅へダイヤルした。
「……はい、津田ですが」 「突然のお話申し訳ありません。佐藤隆志の娘の、美奈です」
受話器の向こうで、老が息を呑む気配がした。
「……美奈ちゃんか。本当に、きくなっただろうな。お父さんがくなってから、もうか」 「津田さん、お願いがあります。父がくなる直に調べていた、会社のトラックについて教えてほしいんです」
「トラック……?」
「『佐藤物流 08号』です。と緑の保。あのは、父がくなった当、どこで使われていたんですか」
津田さんの呼吸が、らかに乱れた。
「……君は、なぜその番号をっているんだ」 「の、私が誘拐された現に、そのトラックがまっていました」
「馬鹿な……!」 津田さんの掠れた叫びが、受話器を通して朶を打った。
「あのは、現にあるはずがないんだ! あれは……君のお父さんがぬヶに、事故で廃になったとして類は永久抹消登録されていただぞ!」
「永久抹消登録……? 廃になっていたんですか?」
「そうだ。類は解体業者に引き渡されたことになっていた。だが、実際には解体されていなかったんだ。お父さんは、そのことに気づいて調べていた。『08号が夜に帳簿の運を繰り返している』『裏と架空取引の現を運ぶための幽霊両として使われている』と……!」
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のが真っになった。
父は、病気や注の事故でんだのではない。 会社の正、野寺さんが主導していた巨額の横領と裏作りの証拠を掴んで、告発しようとしていたのだ。
そして、その告発のデータを記録したメモリーカードの隠し所を、母に託した。
母はそれを守るために、娘の古い着の裏に縫い込んだ。 野寺さんは、父を消した、その方を必で追っていた。
そしてのあの。 私を誘拐した犯は、代目当てのきずりの犯罪者なんかじゃなかった。
野寺さんが、父の遺したデータを奪い返すために、幽霊トラックを使って仕組んだ狂言誘拐だったんだ。
背筋を突き抜けるような戦慄がった。
じゃあ、母は。 その事実に気づいた母は、体どこへったのか。 写友堂で写真を復元し、『佐藤物流 08』の文字を突き止めた母が、最初に向かう所はどこだ。
……野寺さんの、元へったんだ。
、恩だと信じ切っていた男の事務所へ、この写真を突きつけに乗り込んだんだ。
「お母さん……!」
計を見ると、すでに夜のを回っていた。 のは、いとえ込みに包まれていた。
私は母のアパートへ駆け戻った。 警察へくに、父の遺品のにまだ何か隠されていないか、計簿の裏や古い帳をすべて確認しなければならない。
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玄関の鍵をけ、暗い部のかりをつける。 静まり返った内。 コンロのの、たい肉じゃが。
そのだった。
ジリリリリリリリリリリリン!
居の隅に置かれた、固定話のベルがけたたましく鳴り響いた。
臓がねがった。 母の携帯は警察に持っていかれている。 この番号をっているのは、ごく限られただけだ。
野寺さんか? それとも、元警部か?
震えるで、受話器を取りげた。
「……はい、佐藤ですが」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、荒い、苦しい男の呼吸音だった。 野寺さんの滑らかな声ではない。 もっとく、煙のヤニで焼け爛れたような、しゃがれた声。
『……佐藤美奈だな』
「どなたですか」
男は、く喉を鳴らして笑った。 その笑い声を聞いた瞬、私の全の産毛が逆った。
、忘れたことのなかった記憶。 暗いプレハブのに転がされていたとき、私を見ろしてタバコにをつけていた、あの男の匂い。
『、あの暗でおを殺さずに逃がしてやった男だ』
「……、浩……?」
刑期を終えて、所していたはずの、私を誘拐した実犯。
受話器の向こうで、男はく、脅すように囁いた。
『おの母親はな、におを殺そうとした本物の黒幕のところに、で乗り込んじまったよ。……今すぐ俺の言う所に来い。
来なきゃ、の朝には利根川に浮くことになるぞ』
の奥で、血液が逆流するような轟音が鳴り響いていた。