"母が消える直前の電話は、警察宛てだった" 第6話
『佐藤物流 08』
喉の奥が引き攣った。
佐藤物流。 父が、経理部を務めていた物流会社だ。 そして、父がんだ、野寺さんが代表取締役に就任した会社。
「お母さんは、このトラックのナンバーと体番号をどうしても読み取りたいと仰ってね」 主が拡した画面のさらに部分を指差した。
「うちの最ソフトでコントラストを極限までげて、ようやくこの『08』という数字が浮かびがったんだ。お母さんはそれを見た瞬、息を呑んでね……『やっぱり、あのは最初から』と呟いて、プリントを握りしめて帰っていかれたよ」
「……あのは、最初から?」
「ああ。それと、元の画像データは絶対に消さないでくれ、警察に提することになるかもしれないから、とを押されたよ」
主はそう言って、バックアップ用のCD-Rをカウンターに置いた。
「持っていきなさい。警察がいてくれるといいんだがね」
「……ありがとうございます」
CD-Rを握りしめ、をた。 アスファルトを踏みしめるが、りと恐怖で震えていた。
父の会社のトラックが、なぜの誘拐現のすぐ側にまっていたのか。 偶然居わせた? あり得ない。 あの所は、の裾にある、灯すらない農のき止まりだった。
確かめなければならないことが、もうつあった。
私はそので、群馬県臓血管センターのくにある、県赤字病院へ向かった。
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、私が救された直に救急搬送された病院だ。
総案内のカウンターで、診療記録の示請求を申した。
「のカルテですか? 保義務期は原則としてですが……」 医療報管理課の職員は、類のを見ながら難を示した。
「示請求の対象者は私本です。当の戸籍謄本も分証もあります。な刑事事件に関わる記録です。倉庫にあるはずです、探してください」
私のただならぬ気迫に押されたのか、職員は奥の執務へと消えた。
待のベンチで待つが、永のようにじられた。 のが首筋を撫でるたびに、のプレハブの湿った空気とカビの匂いが蘇る。
「……佐藤美奈さん」
呼ばれてカウンターへ駆け寄ると、茶封筒から取りされた枚の黄く変した用が差しされた。
『救急搬送初診カルテ 平成』
私の線は、搬送の状況が記された備考欄のに釘付けになった。
『搬送元:富士見林内 被疑者確保現』 『搬入バイタル:体温35.2℃、脈拍110、識清なれど極度のパニック状態』 『着状況:・指定学用ウールセーター(部汚損)。(コート、ジャンパー等)の着用および携なし』
息が止まった。
やっぱり。 私の記憶は、正しかった。
病院に運び込まれたとき、私は青い着を着ていなかった。
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警察の捜査報告には『青い着を着用』とかれ、 現で撮られた写真には『青い着を着た私』が写っていて、 病院のカルテには『着の着用なし』と記録されている。
パズルのピースが、音をてて嵌まり込んでいく。
野寺さんは、警察が私をプレハブからへ連れした直、規制線のから駆け寄った。 そして『母親から預かった』と偽って、あの青い着を私に羽織らせた。 警察官たちがそれを見て『着を着ている』と認識した直、救急に運び込まれるまでの数分の混乱ので、野寺さんは着を脱がせて回収した。
なぜ、そんな奇妙な真似をしたのか?
目はつしかない。 あの裏に縫い付けられていた、メモリーカードだ。
野寺さんは、最初からっていたのだ。 母が、父の遺品であるデータを青い着に隠したことを。 だから現に着を持って現れ、私に着せるふりをして、裏の触を確かめ、を抜き取った。
……でも、待って。
それなら、なぜトラックなんだ? 『佐藤物流 08』の保は、現で何をしていた?
私はスマートフォンを取りし、実の押し入れから持ちしてきた父の遺品メモをめくった。 父がくなる直、佐藤物流の社内報や、社員名簿のコピーが残されていたはずだ。
そのに、定退職して今は内で暮らしをしている元経理担当、津田さんの連絡先があった。