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"母が消える直前の電話は、警察宛てだった" 第5話

「母がいなくなった理由じゃなくて、母が持ちしたかもしれない『何か』を、ですね」 「ああ」

元警部はちがり、古びた帳をいた。

「美奈ちゃん、警察の記録が嘘をついているのではない。警察は『現で見たまま』を記録しただけだ。、救現に駆けつけた野寺さんは、泣き叫ぶ君に青い着を着せた。警察官たちはそれを見て『被害者は青い着を着用』とメモを取った。問題は、そのだ」

「その……?」

「救急が君を乗せて病院に着いたとき、君の着はどうなっていた?」

記憶の蓋が、軋む音をてていた。

救急の甲いサイレン。 点滅する赤い。 搬送用のストレッチャーので、私は震えていた。 護師が私のをハサミで切ろうとしたとき、私の体には……いの毛糸のセーターしかなかった。

青いウインドブレーカーは、消えていた。

「救急に乗るまでの数分のうちに、野寺さんは君からその着を脱がせたんだ」 元警部の言葉が、刃物のように胸を抉った。

「あるいは、病院へ向かうで預かる名目で持ちり、を確認したに、何わぬ顔で恵子さんの元へ返した。……恵子さんは最になって、何かに気づいたんだ。だから私にあの写真を見せに来た」

「母の取りを追います」 私はちがった。

警察はかない。 野寺さんは方の顔をして私の周囲を固め始めている。

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母を救える能性があるのは、血の繋がった私だけだ。

「無茶はするな」 元警部が私の肩にを置いた。

「退職しただが、私にも昔の伝がある。鑑識の連や当の捜査課の連にも、非公式に話を通してみよう。何か分かったら連絡する」

「ありがとうございます」

私はをげ、元警部のをびした。

向かったのは、母のアパートだった。 居に戻り、母が毎欠かさず几帳面にき留めていた計簿をいた。

スーパーのレジ打ちのパート代、額万円。 賃、費、費。 無駄遣いのない、爪にを点すような々の数字の並び。

その最のページ。 失踪するの付で、見慣れない支が記されていた。

『 写友堂 写真修復・解像度化 千百円』

写友堂。 駅の寂れた商にある、昔ながらの個経営の写真館だ。

母が、千円以ものを払って、写真を修復させた? 自分の美容院代すら千百円の格で済ませていたが。

タクシーをばし、シャッター通りの角にある写友堂へ向かった。

チリン、と乾いたドアベルが鳴る。 暗い内には、薬品と埃の混ざりった匂いがち込めていた。 カウンターの奥から、ルーペを目に当てた髪の主が顔をした。

「いらっしゃい」 「すみません。に、佐藤恵子という女性がこちらで写真のデータ化をお願いしたとうのですが」

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主のが止まった。 ルーペをし、怪訝そうに私を見つめる。

「恵子さん? ああ……あの、妙に切迫した様子だった奥さんか。お内かい?」 「娘です。母が……昨夜から連絡が取れなくなってしまって」

主の眉がぴくりといた。

「警察には?」 「きましたが、相にされませんでした。母がここで何を頼んだのか、教えていただけませんか。母を探す唯の掛かりなんです」

主はしばらく私の顔を見つめていたが、やがてさく息を吐き、カウンターの奥のパソコンに向かった。

「……本来は客のプライバシーに関わることだから見せられないんだがね。警察もかないんじゃ、あんたも途方に暮れるだろう」

キーボードを叩く乾いた音が数回響く。 モニターに、枚のモノクロにい荒れた画像が表示された。

あの写真だ。 、赤灯ので泣いている私と、青い着。 そして、その端。

「お母さんはね、この写真全体を綺麗にしてほしいと言ったんじゃないんだよ」 主がマウスを操作し、写真の、黒塗りのセダンの奥に写り込んでいた『別の』をきく拡した。

画面が粗いモザイク状に崩れ、やがて補正フィルターによって輪郭が浮きがってくる。

黒塗りのセダンのさらにろ。 暗に紛れるようにまっていた、と緑のツートンカラーの型保。

その除けの、体の側面に抜きで描かれた、かすれた文字。

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