みかん小説
本棚

"7年前に失踪した夫は、12年前から目が見えない" 第6話

識清。翌退院』

んでいなかった。 それどころか、全治週の軽傷で、翌には自分ので病院をていたのだ。

悠真は、誰も殺していなかった。

に入れた事故当の調記録の所を掛かりに、私は鶴見の臨部、古びた鉄所が並ぶ埋のれへをらせた。 トタン根の造アパート。 錆びついた郵便受けに、掠れた文字で『佐々』とかれていた。

呼び鈴を鳴らしても応答はない。 ドアを力任せに叩き続けた。 数分、チェーンのかかったドアがわずかにき、酒とタバコの臭いを漂わせた男が顔をした。

伸び放題の髪混じりのパーマ。額には、古い縫痕。 画に映っていた、あの男だった。

「何の用だ、ババア」

私はドアの隙に、プリントアウトした画の静止画と、消防局の記録をねじ込んだ。

「直の妻です」

男の目のが、瞬で変わった。 瞳孔がき、ドアを乱暴に閉めようとする。 私は革靴の先をドアの隙に力任せに挟み込んだ。激痛がったが、絶対に引かなかった。

「警察を呼びますか? 脅迫罪、恐未遂、それとも偽証? 、私の息子を殺しに仕てげて脅し続けた落とし、きっちりつけてもらうわよ!」

所のが窓をける気配がした。 「世体」を嫌ったのは男の方だった。舌打ちを漏らし、チェーンをして私を部のへ引きずり込んだ。

広告

ゴミと空き缶が散乱する畳。 男――佐々は、煙にをつけ、震えるでを掻きむしった。

「俺はらねえよ……俺だって騙されたんだ!」

佐々は吐き捨てるように語り始めた。

、佐々にを渡したのは、医療法の事務をしていた『藤原誠』という男だった。 万円の現と引き換えに、宮本修司のアパートので直を待ち伏せし、難癖をつけて掴みかかれと指示された。

『くに息子がいたら、必ず巻き込め。派に暴れてみせろ』

カメラは、藤原の部が最初からアパートの空き部に仕掛けていたものだった。

「俺は怪までさせられたんだぞ! 階段から落ちたのは計算だったが、藤原の野郎は『最の画が撮れた』って笑って、追加で万寄こした。それっきりだ! がどこへったかなんて、俺がるわけねえだろうが!」

仕組まれていた。 悠真の罪も、血だまりも、最初から直を脅迫するために周到に準備された罠だったのだ。

「藤原は……何のためにそんなことをしたの?」

佐々は怯えた目で、部の隅の段ボール箱を漁った。 取りされたのは、に藤原から現の指定を受けた際のきのメモだった。

『鶴見区・宮本方 14。接触、直ちにデータを回収のこと』

その裏に、直の跡ではない、角ばった几帳面な文字で別の所がき殴られていた。

広告

私はそので、再び横浜央総病院へ向かった。 リハビリを終え、病に戻っていた宮本修司のに、佐々から奪ったメモを叩きつけた。

「修司さん。目が見えないなら、で聞きなさい」

私は震える声で、佐々が状したすべてを叩きつけた。 悠真は誰も殺していなかったこと。 のあの流血が、藤原という男によって仕組まれた狂言だったこと。

病の修司が、息を呑んだ。 盲目の両目から、粒の涙がとめどなく溢れた。

「藤原……誠……。あいつが、そこまで……」

「っているのね? 直は、何を調べていたの!?」

修司の妻・玲子が部の隅で青ざめ、震える指で夫の肩を抱きしめた。 修司は掠れた声で、いをいた。

、修司が事故で失した際、加害者側の保険会社から支払われた損害賠償は千万円にった。 だが、当リハビリ施設の事務だった藤原誠が、「信託管理」と称して実質にその半分以を着していた。

、直は偶然その正に気づいたのだ。 き別れの兄が騙し取られたを取り戻すため、直は独自に藤原の横領の証拠を集め、警察に告発しようとしていた。

『直は……あいつの急所を握っていたんだ』

修司はベッドのシーツを固く握りしめた。

『だが、藤原は悠真を利用した。息子を傷害致の犯に仕てげると脅せば、直が証拠を差しすと踏んだんだ……!』

直は、族を守るためにでち向かったのだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: