"油まみれの整備士と養子の秘密" 第22話
「ただいまぁ――!」
学から元気に帰ってきた望みは、ランドセルを玄関に放りすのももどかしく、目散にリビングへと駆け込んできた。
「ゆめちゃん、ただいま! お姉ちゃんですよ~!」
しずつお姉ちゃんらしくなってきた望みは、母の膝のにちょこんと座っている妹の「(ゆめ)」に向かって、毎帰ってくるなり話しかけている。
でも「おばさん」と呼ばれるのを阻止するために、毎執のように「私はお姉ちゃんだからね!」と言い聞かせている望みのその必すぎる姿に、私たちはいつもわず吹きして笑ってしまう。
母から「ちゃんとを洗ってからにしなさい!」と厳しく注された望みは、「はーい!」と慌てて洗面所へとんでいくのだった。
――「」。
それは、私たちが授かった番目の子供であり、私たち族の未来の名だ。
「あゆみちゃんは、私たちに最のを与えてくれたよ」
あの児童養護施設の堂で、未来の受験だったにあゆみがかけられたその言葉をそのままいただいて、私たちは娘に「」と名付けたのだった。
望みは私たち族の「希望」であり、は私たち族の「未来の」だ。
この幼いの子供たちが、これからのいので、私たち族の希望であり、未来のであり続けてくれるはずだ。そして、私たちが両親から受け継いだ「誰かを無条件で救う優しさ」
のバトンを、今度は私たちが次の世代へとしっかりと渡していく番なのだ。
窓のを見ると、夕暮れのオレンジのが、私たちの庭のさな植鉢の若葉を優しく照らししていた。
を備する私のには、今もエンジンオイルの黒い染みがしっかりと残っている。けれど、その汚れはかつてのように孤独なものではなく、する族と共にある毎の誇らしい勲章だった。
私はく息を吸い込み、リビングから聞こえてくる族の賑やかな笑い声のへと、温かな取りでゆっくりと戻っていった。