"ただの送金係にされた母親" 第13話
【13】 15ぶりに同じテーブルに広げられた預通帳
午分。
介護老保健施設「藤の苑」の階にある族相談のドアをけると、そこには角い製のテーブルと、殺景なパイプ子が並んでいた。
部の隅には、腕組みをした女性ケアマネジャーの佐藤さんが控え、央には子に乗った正弘が待していた。
ぶりに、元夫と同じ空に座る。
かつて私の実のをあてにし、い通りにいかないと鳴り散らしていた男は、くなった髪を撫でつけ、張った表で正面の壁を睨みつけていた。
ドアがき、翔太と彩さんが入ってきた。
翔太のには、黒いビジネスバッグがそうに握られている。
彩さんは無言のまま、翔太の隣のパイプ子を引いて腰をろした。
「……何の真似だ、これは」
を切ったのは、子の正弘だった。
掠れた、しかし精杯の威厳を取り繕うような声だった。
「わざわざ俺をこんな部に呼びして。まるで罪の裁判官気取りだな、久美子」
私は何も答えず、ただ両を膝のにねて静かに座り続けた。
鳴り返す気も、言い訳をする気もなかった。
今ここでわれるべきは、元夫婦の痴話喧嘩ではないからだ。
「親父、違うんだ」
翔太がおずおずとをいた。
「俺が……みんなに話さなきゃいけないことがあって、集まってもらったんだ」
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「話だと?」
正弘が苛たしげにを振った。
「来から特護棟に移る件なら、ケアマネから聞いた。費用が万になるそうだな。だが翔太、おが会社で役職についているなら、そのくらいの差額はどうにでもなるはずだろう。息子の甲斐性で親父の面倒を見るのは、当たりの義じゃないのか」
その尊な物言いに、翔太の喉元がひくひくと痙攣した。
「あの……親父、実は……」
翔太はまた、そのを取り繕う言葉を探そうと線を泳がせ始めた。
『実は会社の業績が芳しくなくて』とか、
『ちょっと費がなっていて』とか、
誰も傷つけず、自分のプライドも守れる「無難な嘘」をろうとしたその瞬。
バサリ、と鈍い音が響いた。
彩さんが、翔太のビジネスバッグから抜き取った類の束を、容赦なくテーブルの真んに叩きつけたのだ。
「え……彩?」
「もう誤魔化すのはやめて」
彩さんの声は、内の空気を瞬で凍りつかせるほど徹だった。
テーブルのに散らばったのは、翔太の直ヶの与細。
残が数千円しかない方の預通帳。
そして、赤字で『最終通告』と印字された消費者融の督促状だった。
正弘の濁った瞳が、テーブルのの片に吸い寄せられた。
「な……なんだ、これは」
「これが、あなたの『頼もしい息子』の現実です」
彩さんが、淡々と言い放った。
翔太は逃げを失い、両で顔を覆ったまま、テーブルのに突っ伏した。
かけて息子が築きげてきた虚構のが、枚の与細ので、無残に崩れ落ちた瞬だった。