"ただの送金係にされた母親" 第10話
【10】「来から特護棟へ移、11万円になります」
「万……?」
私のから漏れた言葉に、向かいの席にいた彩さんの表が変した。
私が話を切り、ケアマネジャーからの通告をそのまま伝えると、彩さんはく、いため息をついた。
「万ですら借で補填していたのに、万……。彼が払えるわけがありません」
「私が……」
喉までかかった言葉を、私は必でみ込んだ。
『私がパートをもうつ増やせば』
『私の貯を崩せば』
染み付いた「母親が尻拭いをする」という反射な考が、無識に首をもたげていたのだ。
だが、彩さんのたい線が、私のその甘さを射抜いた。
「お義母さん。今、自分が肩代わりしようとしませんでしたか?」
「……」
「あなたが万円をし続けてきたから、彼は歳になっても自分のでつ痛みを学ばなかったんです。ここでまた誰かがおをせば、翔太さんは、嘘での財布を操るき方をやめませんよ」
彩さんの言う通りだった。私がここで財布をけば、と同じ構造をまた繰り返すことになる。
私たちは喫茶をて、翔太がで引きこもっているはずの居のマンションへと向かった。
鍵を差し込み、いドアをける。
リビングのカーテンは閉め切られ、部のには淀んだ空気が充満していた。
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ソファので、翔太が膝を抱えて座っていた。にはスマートフォンが握られ、画面の青いが、青ざめた息子の顔を照らしていた。
「翔太」
私の声に、息子はびくりと体を震わせ、慌ててスマホをポケットに隠そうとした。
「母さん……彩……なんでここに……」
「隠さないで、翔太さん」
彩さんが靴を脱ぎ、リビングの央へ歩みた。
「施設からお義母さんに話があったわ。お父さんの状態が悪化して、来から費用が万円にねがるそうよ」
翔太の顔から、完全に表が消え失せた。
「万……? そんなの、聞いてないぞ……」
「今、あなた何をしてたの?」
彩さんが静かに問うた。
翔太は線を泳がせ、乾いた喉を鳴らした。
「な、何もしてないよ。仕事のメールを……」
「嘘をつかないで!」
彩さんがテーブルに歩み寄り、ダイニングテーブルのに置かれていたiPadの画面をタップした。
居のや費の契約のために、で共していたアカウントだった。
そこには、ほんの数分に届いたばかりのメールが、はっきりと表示されていた。
『【モビット】増額融資および規ご利用枠の設定が完いたしました。ご契約極度額:1,500,000円』
部の空気が、瞬で凍りついた。
「翔太……あなた、また借りたの?」
私の震える声に、翔太は唇を噛み締め、を抱え込んだ。
「じゃあどうすりゃいいんだよ!」
翔太が、破れかぶれの声を張りげた。
「万だぞ!? 払わなきゃ親父は追いされるんだ! 母さんは親父を憎んでるし、彩にはを尽かされた! 俺がどこかから面してくるしかないだろ! 俺が全部被れば、誰も迷惑しないんだよ!」
まただ。
この子は極限まで追い詰められてなお、さえ引っ張ってくればすべてを隠蔽できるとい込んでいる。
利15パーセントの借を百万抱え、毎の返済に追われながら、破滅へ向かって突きむことの恐怖すら、見栄のに麻痺していた。