"ただの送金係にされた母親" 第7話
【07】「翔太、これはおの昇当じゃなかったのか」
正弘の自由なが、震えながらをめくった。
『振込:タカハシ クミコ 額:50,000円』
『振込:毎25』
そのに並ぶ、もうつの履歴。
『振込先:カ)フジノソノ 額:50,000円』
『振込:毎26』
、寸分の狂いもなく繰り返されてきた数字の羅列を、元夫はただ呆然と見つめていた。
「これ……は……」
「私が毎、翔太の活のために送っていたおよ」
私は淡な声で告げた。
「翔太の料がないから、母親として賃のしにしてほしいと渡していたの。それをこの子は、翌にあなたの施設へ横流ししていた。私が、どれだけのいで働いてきたか、あなたならしは像がつくでしょう?」
正弘の浅黒い顔から、急速に血の気が引いていくのが分かった。
男は震えるを毛布からし、子の横にち尽くす翔太を見げた。
その瞳には、羞恥と、信じ難いものを見るような激しい困惑が渦巻いていた。
「翔太……お、これはどういうことだ?」
翔太は何も答えない。ただ肩を震わせ、壁を見つめている。
「お……、俺が倒れた、なんと言った?」
正弘の声が、次第に震えを帯びてくなっていった。
「『親父、配するな。俺、会社で評価されて当がついたから、毎万くらいなら余裕でせるよ』って……そう言ったじゃないか!」
臓の奥が、たく凍りつくような覚がした。
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翔太は母親に対して「活が苦しい」と見せかけてを受け取り、父親に対しては「世して余裕がある」と見せかけてを恵んでいた。
両方ので、まったく別の仮面を被り、完璧な息子を演じ続けていたのだ。
「俺は……俺はおの稼ぎだとってたから……!」
正弘の喉から、絞りすような声ががった。
「自分が惨めに倒れて、けない親父になっちまったけど、息子が派に育ってくれたんだとって……ありがたく受け取ってたんだぞ! それが、なんだこれは! 久美子のだと!?」
正弘は腕を乱暴に振り回し、子のドリンクホルダーに差してあったプラスチックのコップをに叩き落とした。
ガシャンと鈍い音が響き、めた麦茶がリノリウムのにび散る。
「こんな惨めな施しを受けてたなんてってたら、最初からんだほうがマシだった! 俺に恥をかかせる気か! 婚した女の施しでき延びてたなんて、誰が納得できるか!」
介護スタッフが慌てて駆け寄ってくる。
「様、落ち着いてください! 血圧ががります!」
その騒の真んで、ついに翔太の糸が切れた。
「じゃあどうすりゃよかったんだよ!」
翔太が、施設に響き渡る声で絶叫した。
廊にいたの入所者たちが驚いてを止める。
「親父は見栄ばっかりでがない! 母さんは親父の名を聞くだけで顔を真っ青にして部に閉じこもる! とも、婚したあとの始末を全部俺に丸投げしてきてきたんじゃないか!」
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翔太の顔は、涙とでぐしゃぐしゃに歪んでいた。
「俺が嘘をつかなきゃ、親父はに迷ってた! 俺が嘘をつかなきゃ、母さんは狂ったようにり狂ってた! 全部、が勝に壊した族の尻拭いを俺がやってただけだろ! なんで俺ばっかり責められなきゃいけないんだよ!」
その叫びは、歳の男のものではなかった。
に取り残された、歳の子供の鳴そのものだった。
私はその姿を見つめながら、歩もくことができなかった。
この子をここまで追い詰めたのは、正弘の勝さだけではない。
「お父さんの話は度とするな」と命じ、息子に切の音を吐かせなかった私の酷さが、この怪物を育てげたのだ。
その、私のハンドバッグので、スマホがく、鋭く震えた。
彩さんからのLINEだった。
画面をくと、枚の写真が添付されていた。
どこかのポストから抜き取られたとわれる、暗い玄関で撮られた枚の封筒の写真。
そこに赤く印字された太い文字を見た瞬、私の元からすべての力が抜け落ちそうになった。