"ただの送金係にされた母親" 第2話
【02】「お母さん、式が終わるまで待ってくれ」
「……母さん、それ返してくれ」
翔太は歩踏みし、私のからスマホを奪い取ろうとを伸ばした。
私はそのをたく払い、背へがると、控のいドアの鍵をカチャリと回した。
「母さん! 何してるんだよ、けてくれ!」
「分に式が始まるわ。来賓も、親戚も、彩さんのご両親も、みんな向こうのフロアで待ってる」
私はスマホをテーブルのに叩きつけた。
鈍いプラスチックの音が、静まり返った部に響く。
「この、私があなたに送り続けた賃のしは、全部あの男の施設代に消えてたのね?」
「……違う、あれは俺のだ。母さんからもらった仕送りは活費に回して、俺の遣いから削って——」
「同じことよ!」
私の声に、タキシード姿の翔太がびくりと肩をねさせた。
「取り万ちょっとのあなたが、毎万も親父に流して、りない分を私ので補填してたんでしょうが! それを世では『母親ので夫を養ってた』って言うのよ!」
「頼むから声を落としてくれ……に聞こえるだろ」
翔太は顔面を蒼にし、血った目でドアの向こうを気にしている。
その卑屈でけない姿を見ていると、胸の奥から黒い絶望が競りがってきた。
夫の誠実さに耐えかねてをびし、女つでこの子を育てげたは何だったのか。
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私が古いアパートで代を節約しながら面したが、私を裏切って逃げたあの男のベッド代になっていたなんて。
「どうして……どうしてあいつと繋がってたの? あいつがどれだけ私を苦しめてていったか、あなただって全部見てたでしょう!」
「親父が倒れたからだよ!」
翔太が、初めて声を荒らげた。
息子の喉が激しくし、額に青筋が浮かんでいた。
「、脳梗塞で倒れて半がかなくなったんだ! だけじゃ特養の空きがるまでの老健の費用がりなくて、俺のところに連絡が来たんだよ! 見捨てるわけにいかないだろ、血の繋がった父親なんだから!」
「なら、どうして私に言わなかったの!?」
私の問いに、翔太は唇を噛み締め、憎しみとも怯えともつかない歪んだ目で私を睨みつけた。
「言えるわけないだろ!」
「……え?」
「母さん、昔なんて言ったか覚えてるか? 婚した、学の俺に向かって言っただろ!」
翔太の瞳に、暗いが落ちた。
「『お父さんに会うのは止めない。でも、お父さんの話は私ので度としないで』って」
臓を針で刺されたような痛みがった。
「母さんは鳴ったりしなかったよ。でも、俺が親父と話した、親父からもらったおもちゃを持って帰った、母さんはどんな顔をしてた? 何もを利かなくなって、夜に部でずっと泣いてただろ!」
「それは……」
「俺は子供に悟ったんだよ。母さんので親父のをすことは、母さんに対する裏切りなんだってな!」
翔太が吐き捨てるように言った。
「母さんは『会うのを止めない』って言ったことで、物分かりのいい母親のつもりだったかもしれない。でも実際は、俺に『父親を完全に隠せ』って命令してたんだよ!」
の自分の言葉が、刃となって胸に突き刺さる。
私は息を呑み、言葉を失った。
その張り詰めた沈黙を破るように、ガチャリとドアノブがから乱暴に回された。
「翔太さん? お義母さん? けてください、スタッフの方が呼んでます!」
純のウェディングドレスを着た彩の声だった。