"ただの送金係にされた母親" 第1話
【01】 スマホにった「藤の苑」への自送
郎控のガラステーブルので、息子のスマートフォンがく震え、画面が青くった。
『[振込完]自送:50,000円 受取:介護老保健施設 藤の苑』
画面に浮かびがった無質な通を見た瞬、私の指先からさっと血の気が引いた。
昨、私が翔太の座に振り込んだばかりの5万円と、1円の狂いもなく同じ額だったからだ。
「これ、今分のしにしなさい。結婚したらもう仕送りは終わりだからね」
そう言って渡した5万円は、翔太をちさせるための、母親としての最の援助のはずだった。
料が決してくない翔太を配して、婚してからの、私はパートを掛け持ちしながら毎欠かさず賃のしを送り続けてきた。
翔太はいつも「母さん、自分のために使ってよ」と申し訳なさそうに笑っていた。
その息子が、なぜ結婚式の当に、介護施設へ同額のを振り込んでいるのか。
胸のざわめきを抑えきれず、私は震える指で画面の通をタップした。
ロックはかかっていなかった。かれたネットバンキングの送履歴画面を、息子の許なくスクロールしていく。
先も、5万円。
半も、5万円。
も、も、も。
私が毎25に翔太の座へ5万円を入した翌、必ずその全額が「藤の苑」
広告
という施設へ自送されていた。
過3分の履歴が、寸分の狂いもなくその酷な事実を証していた。
そして、私の呼吸を完全に止めたのは、振込細の備考欄にさく印字されていた入所者の名だった。
『入所者氏名: 正弘』
のが真っになった。
正弘。
に婚届に判を捺して以来、度と顔をわせることもなかった私の夫であり、翔太の実の父親だ。
……嘘でしょう?
声にならない掠れた音が喉から漏れた。
翔太はずっと私に言っていた。
「親父とはをてから度も会ってないよ」
「連絡先もらないし、どこで何してるかも興ない」
母である私をさせるように、いつだって穏やかな顔でそう繰り返していたはずだった。
「母さん? ネクタイの留め具、どっちがいいとう?」
試着スペースのいカーテンがき、仕てのいいタキシードにを包んだ翔太が笑顔で顔をした。
だが、テーブルのにち尽くし、スマホを握りしめている私の姿を見た瞬、息子の表からすべての温度が消え失せた。
翔太の線が、自分のスマホの画面へと落ちる。
私は息子の目を見据えたまま、画面を彼に向けて掲げた。
「あなた、何私を騙してたの?」
乾いた私の声が落ちると同に、廊から式始分を告げる無質なチャイムが響き渡った。