"無償シッター扱いの母" 第18話
娘と交わした「3ヶの契約」と、夫への宣告
私は赤いペンをらせ、真っなメモ帳のしいページに、箇条きで文字を刻み込んだ。
『佐藤千恵・理 活支援の事項』
「まず、まいのことよ」
私は顔をげ、理を見た。
「階の客を、あなたと悠斗に貸します」
「……本当!?」
理が弾かれたように顔をげた。
だが、私はすぐにペン先で机を叩いて制した。
「ただし、期限はヶ。来の末までよ」
「ヶ……?」
「そうよ。このヶのに、しい職で試用期を終え、与細を揃え、自分たちの力で審査の通る賃貸アパートを見つけなさい。末をでも過ぎたら、荷物をまとめててってもらいます」
理がごくりと唾をみ込んだ。
甘えの許されない、徹な契約の響きだった。
「次に、保育園の送迎と夕」
私は赤ペンで『曜・曜』ときくいた。
「私が悠斗を迎えにき、夕飯をべさせるのは、週にだけ。曜と曜だけに限定します。残りの・・は、あなたが定で迎えにくか、自治体のファミリーサポートや職の託児補助を使いなさい」
「週じゃ……残業が……」
「残業できないなら、司に事を話しなさい。シングルマザーとしての働き方を、職と交渉しなさい。母親のを削って誤魔化すんじゃないの」
私の容赦ない言葉に、理は唇を噛み締めて俯いた。
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「曜と曜の宿泊はなし。曜の預かりも原則として受けません。悠斗が急にをしたは、緊急連絡先として駆けつけるけれど、病児保育の配はあなたがやりなさい。……以よ」
メモ帳を破り、テーブルの真んに滑らせた。
そこには、赤インクでかれた確な境界線が刻まれていた。
「これを呑むなら、階の部を使いなさい。呑めないなら、今すぐ悠斗を連れて、別の所を探しなさい」
沈黙がリビングを支配した。
理は震える指で、そのを見つめていた。
これまでの「いつでも、なんでも」やってくれた母は、もうどこにもいない。
目のにいるのは、娘をしながらも、自らの尊厳を絶対にけ渡さない、の毅然とした女性だった。
やがて、理はぽろぽろと涙をこぼしながら、掠れた声で言った。
「……わかった。守るから」
理は赤ペンをに取り、メモのに、さく自分の名をサインした。
その様子を見ていた隆が、フッと堵したように息を吐きした。
自分が理を追いそうとした正しさが、形を変えて証されたとでもったのだろう。夫が満げにをこうとした。
「まあ、千恵にしては来な落とし所だな。これなら俺の活も――」
スッ、と。
私はテーブルのから、もう枚の類を取りし、隆の目のに突きつけた。
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夫の顔から、笑みが凍りついた。
くしゃくしゃに丸められ、ゴミ箱から拾いげて伸ばされた、あの『ご旅契約解除通』。
万千円の違約の文字が、々しく蛍灯に照らされている。
「……隆さん。次は、あなたの番よ」
「千恵……? 何を蒸し返すんだ、もう終わった話だろう」
「終わってないわ」
私は夫の瞳を、絶対零度のたさで見据えた。
「私に黙って旅をキャンセルしたこと。私のスマホから勝に理に絶縁メールを送ったこと。絶対に許さないわ」
隆が息を呑み、居悪そうにじろぎした。
「あなたがやってきたことはね、理と同じよ。理は私のを奪おうとし、あなたは私の志を奪おうとした。『千恵のためだ』というもっともらしい板を掲げて、自分の静けさを守りたかっただけでしょう」
「お、俺は……おが配で……」
「配なら、私に聞きなさい」
私の声が、リビングの空気を鋭く引き締めた。
「『千恵、おはどうしたいんだ』と、ただの言でも私に相談しなさい。私の越しに、勝に諦めるな。勝に切り捨てるな。私ののハンドルを、あなたが奪うな」
隆は顔を真っ赤にし、やがて力なく線を落とした。
の結婚活で、夫がここまで完膚なきまでに言い負かされたことなど、度もなかった。
「旅会社には、さっき話したわ。のフェリーなら、まだ特等に空きがあるそうよ。
キャンセル料の万円は、あなたの遣いから補填してもらうからね」
夫は何も言えず、さく度だけ頷いた。
窓のでは、いつのにかがりになり、の隙からかすかなかりが差し込んでいた。