"無償シッター扱いの母" 第3話
娘のバッグからてきた、私の「労働シフト表」
リビングの空気は、油のようにかった。
悠斗にはテレビでアニメを見せ、ジュースとお菓子を与えてに追いやった。
襖を閉め切り、ダイニングテーブルを挟んで、私と隆、そして理が向かいって座った。
テーブルの央に、枚の類が置かれていた。
緑の枠線で印刷された、公な用。
部に太いフォントでかれた『婚届』の文字が、蛍灯のかりに々しく照らされていた。
すでに夫である健太さんの署名と、赤い実印が押されている。
「……健太さんと、何があったの」
私の問いに、理は膝のでバッグを握りしめたまま、うつむいて震えていた。
「……価値観の違い、って言えばそれまでなんだけど。もう、限界だったの。毎晩のように悠斗ので鳴りって……健太さん、活費もまともに入れてくれなくなって……」
娘の目から、粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。
その泣き顔を見た瞬、私のにあったりや信は、あっというに消しんでしまった。
余り塩にかけて育ててきた、私のたったの娘だ。
華奢な肩を震わせて泣く姿を見せられたら、母親として抱きしめてやる以のなど残るはずがなかった。
「……そうだったの。辛かったわね、理。で抱え込んでたのね」
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私はわずを乗りし、理のたいに自分のをねた。
「いいわよ、もうしなくて。悠斗を連れて、ここに戻っておいで。部なら空いてるし、お母さんも退職してにいるんだから。なんとでもなるわよ」
私のから自然にたその言葉に、理がホッとしたように顔をげた。
だが、その瞬。
「ほーら見ろ」
テーブルの向かいから、笑混じりのい声がんできた。
隆が腕を組んだまま、氷のような目で私を睨みつけていた。
「絵に描いたような反応だな。『戻っておいで』『なんとでもなる』。おがそう言うって、俺は字句違わずに当ててやったぞ」
「隆さん! 娘がこんなに傷ついてるのに、何その言い方は!?」
私が激昂すると、隆はを鳴らし、理に向けて顎をしゃくった。
「理。お、母さんに隠してないで、全部せ」
「お父さん、もういいでしょ……」
「せと言ってるんだ。先週、俺に見せて払いされた、あのをな」
理は怯えたように唇を噛み、渋々ときなトートバッグの底にを突っ込んだ。
そして、クリアファイルからつ折りにされた枚のA4用を取りし、テーブルのに滑らせた。
「……何よ、これ」
私が受け取ると、それは几帳面なExcelで組まれた表だった。
タイトルには、こう印字されていた。
『今の活・育児スケジュール案(実サポート提)』
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表の端には、曜から曜までの曜と、が細かく区切られていた。
そして、そこに並んでいた文字の群れに、私の目は釘付けになった。
【〜】16:30 悠斗の保育園お迎え(実・母担当)
【〜】17:00〜19:30 実にて夕飯・入浴・宿題補助(実・母担当)
【〜】20:30〜21:00 理退勤、実へ迎え
【・】理残業確定のため、悠斗は実宿泊(実・母担当)
【第2・第4曜】規プロジェクト研修のため、終預かり(実・母担当)
文字を追うごとに、指先からスッと血の気が引いていくのがわかった。
「……理、これ……」
ふと、用のにさく印字された作成に目がいった。
『作成:2026814』
今はの旬だ。
つまり、ヶも。
私が「退職したら、隆さんとで平の空いてる温泉にでもきたいわね」と、嬉しそうに旅雑誌をめくっていたあのの。
私のらないところで、私のこれからの毎は、娘のによって分刻みで埋め尽くされていたのだ。