"毎日届く「パパを来させないで」" 第18話
「……いや、これは俺が直接ママに聞くよ」
者面談から、ヶのが流れた。
私と美咲は、学の学区内にある駅くの2LDKの賃貸マンションで、しい活を始めていた。
公正証によるのもと、別居は正式に成した。
浩司が養育費と美咲の学費を全額負担すること。
連絡はすべて、子どもを通さず、専用の連絡用アプリでのみ事務にうこと。
美咲の活環境やに関する決定権は、美咲本のを最優先とすること。
そして、浩司には週に、曜と曜の放課に、美咲を塾へ送迎する権利が認められていた。
曜の午。
のたいが吹き抜ける学の。
仕事を終えた私は、しれた歩のから、のを見守っていた。
美咲には「でけるから来なくていい」と言われていたが、母親としての習慣が、どうしてもを止めさせていた。
通りの向こうから、見慣れたシルバーのセダンが静かにやってきて、いつもの位置にまった。
そのしを、隣の田島さんの軽自が偶然、通り過ぎていくのが見えた。
ヶ、美咲が逃げ込んだあのだ。
田島さんは方を向いたまま、静かにりっていった。
セダンの運転席の窓がき、浩司が顔をした。
から、ランドセルを背負った美咲がてきた。
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美咲は父親のを見つけると、を止めた。
瞬だけ、躊躇うように線を落とす。
浩司はからりてこなかった。
ドアをけて招きすることもしなかった。
ただ、運転席からを乗りし、穏やかな声で言った。
「美咲。今は歩いて塾にきたいなら、歩きでもいいぞ」
無理いはしない。
逃げを塞がない。
それが、浩司がこのヶで必ににつけた、しいルールだった。
美咲は寒そうにマフラーに顔を埋め、し考えた。
それから、りでの助席へと駆け寄った。
ガチャリ。
美咲は自分のでドアノブを引き、迷いなく助席へと乗り込んだ。
バタン、と気のいい音をてて、ドアが閉まる。
内が見える位置まで、私は歩の階段をゆっくりとりた。
浩司がエンジンをかけ、セダンが静かにきす。
最初の赤信号で、がまった。
運転席の浩司が、ハンドルを握りながら、ふと助席の美咲のほうへ顔を向けた。
何かを尋ねようとして、をく。
『ママ、しい仕事のほうは……』
フロントガラス越しに、浩司の元がそういたのが見えた。
無識の癖。
かつてのように、娘から妻の況を探ろうとする古い習慣が、反射にかかったのだ。
けれど、浩司は言葉を途でピタリと止めた。
助席の美咲が、ハッとしたように父親の顔を見つめる。
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浩司は苦笑いのような、気まずそうな表を浮かべ、自分のをでさく掻いた。
そして、首を横に振った。
『……いや、やめた。これは俺が直接、ママに連絡して聞くことだったな』
浩司のがそうくのが、目にもはっきりと分かった。
美咲はし目を見張り、それから、ふっと元を綻ばせた。
声をして笑ったわけではない。
ただ、元にさな、柔らかな笑みが浮かんでいた。
美咲は線を正面に戻し、流れるの景を見つめた。
助席のシートにく背を預け、さく息を吐きす。
かつて、父親のに乗るたびにガチガチに張っていた娘の細い肩が、今はストンと、自然な位置までがっていた。
信号が青に変わり、セダンは夕暮れのへと滑らかにりっていった。
もう、あのは密の尋問部ではない。
の都を背負わされる共犯者の席でもない。
ただの、父親が娘を塾へと送るための、普通のだった。
私はコートのポケットにを入れ、たいのを歩きした。
元のスマホが震え、浩司から連絡アプリを通してだけのメッセージが届く。
『無事に美咲を乗せました。に塾へ送り届けます』
『解しました。よろしくお願いします』
く返信を打ち込み、画面を閉じる。
空には、い群青の夕が広がり始めていた。
私たち族の形は、完全に壊れた。
元通りのには、もう度と戻らない。
けれど、あの子の肩から、の嘘のみを取り除くことだけはできたのだ。
胸を満たすたい空気が、今はただ、どこまでもよかった。