みかん小説
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"あんたの金なら一滴も飲まない" 第1話

朝半のチャイム

古い目覚まし計の針が半を指した瞬、玄関のチャイムがく鳴った。

ピンポーン、という甲い子音のあと、コトン、と乾いたさな音がから響く。いガラスがに触れる音だった。

私は洗面台で顔を拭っていたを止め、タオルを持ったまま玄関へ向かった。に横浜から実へ戻ってきて以来、この音を聞くのはこれが度目だった。

母のが自宅の廊ですべって転び、腰の骨にひびを入れて入院したのが先週の曜のことだ。歳という齢を考えれば、週の入院で済むのは幸の幸いだった。夫と学の娘にのことを頼み、私はとリモートワークを組みわせて、静岡のこの古い造平に泊まり込んでいた。

鍵をけて引き戸を引くと、のたい朝の空気が元に流れ込んできた。

玄関脇の壁に打ち付けられた、緑のペンキが剥げかけた箱。その蓋をけると、赤いビニールでを縛られたガラス瓶が本、儀よく収まっていた。瓶の表面にはうっすらと滴がつき、触れると指先に気が伝わってくる。

百ミリリットルの牛乳だった。

目は、所のが差し入れでも置いていったのかとった。目は、何かのお試しキャンペーンだろうとく考えずに蔵庫へ入れた。

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だが、続けて同じ刻に届くとなれば話は別だ。

私は瓶をに持ち、台所へ戻った。

蔵庫をけると、ドアポケットの最列に、未封の同じ牛乳瓶が本、並んでっていた。私が持っているものとわせれば本になる。母が倒れて入院したあとも、このさな瓶は毎休まず届けられていたのだ。

瓶の赤いビニールには、「町牛乳配送所」と角ばった文字で印刷されていた。

母は昔から、自分の体を甘やかすようなではない。贅沢を嫌い、用品は駅先の売りスーパーまで自転で買いにき、気代を節約するために夜は半に居のかりを消すようなだ。その母が、スーパーのパックより割な宅配の瓶牛乳を、わざわざ契約して取っていること自体が議だった。

父の健がくなって、今のでちょうどになる。

父がきていた頃の記憶をたどっても、朝に牛乳がてきた覚えはほとんどない。父は朝起きるとい緑茶をすすり、母はの残りの噌汁を温め直してんでいたはずだ。

「入院してる、止めとかないと勿体ないわよね」

私は独り言のようにつぶやき、蔵庫の側面にマグネットで留められていた連絡先覧のメモ用に目をらせた。そこにはかかりつけの内科やの修理業者と並んで、ボールペンの几帳面な字で「牛乳」

と話番号がかれていた。

母の退院はくても週だ。その、めもしない牛乳を毎玄関に溜めておくわけにはいかない。

私はエプロンのポケットからスマートフォンを取りし、メモの番号を押し始めた。ただの常の事務続きのつもりだった。留守を預かる娘として、ごく当たりの片付けをするだけのつもりだった。

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