"都合のいい下請けの妹" 第6話
「全部、あなたが甘やかした結果よ」
チェーンをかけたまま、ドアをセンチだけけた。
「何の用ですか」
私のたい声に、由美さんは怯んだ様子も見せず、胸元から通の茶封筒を取りした。
「話があるの。美羽のことよ」
美羽の名をされたら、けないわけにはいかない。
私は息を吸い込み、チェーンをして由美さんをリビングに通した。
由美さんは部を見回すこともせず、ダイニングのパイプ子に浅く腰掛けた。
された麦茶には指本触れず、持参した茶封筒から数枚のプリントを取りして、テーブルに滑らせてきた。
「美羽の、期講習のスケジュールと請求よ」
印字された額は、万千円。
そして、週、夕方からまでのコマがびっしりと並んでいた。
「……これが何?」
「見ての通りよ。美羽をかせたいの。でも、私のパート代じゃりないし、何より塾の送り迎えができない。週、に塾へ送って、にピックアップして、夕飯をべさせる。……奈津子さん、やってくれない?」
私は呆れ果てて、乾いた笑いを漏らした。
「由美さん、正気? どうして私が美羽の塾代の面と送り迎えまでしなきゃいけないの? 私には自分の活があるの。仕事もあるのよ」
「だって、あなたはおにもにも余裕があるじゃない!」
由美さんの声が、初めてヒステリックにずった。
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「子どももいないし、自分の稼いだおは全部自分のもの。実の面倒を見なくてよくなったんだから、美羽のことくらい伝えるでしょう? 伯母さんなんだから!」
「いい加減にして」
私はテーブルをのひらでく叩いた。
「兄さんは私から鍵を取りげて、族LINEからも追いしたのよ? 部者扱いした相に、よくそんな求ができるわね」
すると、由美さんは歪んだ笑みを浮かべ、氷のようにたい目で私を睨みつけてきた。
「全部、あなたが甘やかした結果じゃない」
胸の奥を、細い針で刺されたような覚がした。
「……何ですって?」
「誠さんがああなったのは、全部あなたのせいよ」
由美さんはを乗りし、で言葉を叩きつけてきた。
「お義父さんが倒れてからの、あなたは度だって誠さんに『伝って』って言わなかった。何かあれば『私がついでにやるから』『仕事帰りに寄れるから』って、全部で抱え込んだ。病院の続きも、薬の管理も、親戚の付きいも!」
「私は、兄さんが仕事で忙しいとって……」
「違うわよ!」
由美さんは叫んだ。
「あなたは、自分がこので番『役につ』でいたかっただけよ! 嫁にても、お義父さんから『やっぱり奈津子が番頼りになる』って言われたくて、誠さんから父親の世話をする会を奪ったのよ!」
言葉がなかった。
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喉の奥が、焼けるようにくなった。
「その結果がこれよ。誠さんは何つできない無能な男になって、いざ実を継いだら引きしのけ方すら分からない。全部、あなたが都よくち回ってきたツケじゃないの!」
痛かった。
図だったからだ。
私は「兄が忙しいから」と言い訳をしながら、のどこかで優越を抱いていたのかもしれない。
実をた自分が、まだこの族の「」にいることを証するために、無償の労働を自ら買ってていた。
「私がいないと回らない」という状況を、私自が望んでいたのだ。
だが、由美さんの顔をじっと見つめているうちに、私のは急速にえ固まっていった。
(このも、同じだ)
由美さんは、私がすべてを背負っていた、何も言わずにその恩恵を貪っていたのだ。
美羽の世話を押し付け、義父の介護から目を背け、私が汗を流している、平然と自分のを守っていた。
共犯者だった女が、今さら被害者の顔をして私を責めてている。
私はく息を吐きし、テーブルのの請求とスケジュール表を掴み取った。
そして、由美さんの胸元へ、乱暴に突き返した。
「ええ、そうね。あなたの言う通りかもしれないわ」
私の声は、自分でも驚くほどく、静かだった。
「私が甘やかしたから、兄さんは何もできない子ども部の主のままを取った。
……だから、もうやめるの」
由美さんの目が、見かれた。
「私の自己満は、あの玄関で鍵を返したに終わったのよ。だから、美羽の塾代も、送り迎えも、壊れた具の片付けも、全部あなたたち夫婦でやりなさい。欠陥だらけの男と結婚したのは、由美さん、あなたよ」
由美さんは息を呑み、突き返された封筒を抱きしめたままち尽くした。
唇が屈辱で刻みに震えている。
「……悔するわよ。親戚に、あなたがどれだけ酷なか言いふらしてやるから」
「どうぞ。好きなように言えばいいわ」
私はドアをけ、廊を指さした。
「度と、私のに来ないで」
由美さんは乱暴な音をてててった。
閉まったドアの向こうから、ヒールの音がざかっていく。
だが、由美の捨て台は、単なる脅しではなかった。
その週末から、私の平穏は、親戚からの話の嵐によって々に砕かれることになる。