"夫の葬儀で別の男を父と呼んだ息子" 第13話
拓也の遺ので
周忌の法をに控えた曜の夕暮れ、私は佐伯を駅の静かな喫茶に呼びした。
注文したつのアイスコーヒーのグラスに、滴がびっしりとついてテーブルにさな輪染みを作っていた。
向かいに座る佐伯は、背筋をし丸め、私の言葉を待っていた。
以会ったよりも、髪が段と増えたように見える。
「佐伯さん。単刀直入に申しげます」
私は鞄から、寺の名と法のがかれた案内状を取りし、佐伯のに置いた。
「拓也の周忌ですが……あなたには、参列していただくわけにはいきません」
佐伯の線が案内状に落ち、それからさく頷いた。
驚いた様子はなかった。最初から分かっていたというような、静かな諦めがその瞳にあった。
「……承しています。私がるような席ではありません」
「悠斗はね」
私は氷の溶けかけたグラスを見つめながら続けた。
「あなたが来ないなら、自分も法事にはないと言いました。父親を偲ぶために、あなたを悪者にして排除するような所にはきたくないと」
佐伯が息を呑んだ。
テーブルので、彼のがく握りしめられるのが見えた。
「美さん、悠斗にそんなことを……拓也の法事ですよ。父親の法にないなんて、そんな取り返しのつかないことをあの子にさせちゃいけない。
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私が……私から悠斗に話して、説得します」
「結構です」
私の声は、く、徹だった。
「あなたに説得してもらうつもりはありません。私が聞きたいのは、別のことです」
「別のこと……?」
「佐伯さん。あなたは本当に、悠斗のために会いたいとっているんですか」
佐伯が目を見いた。
「どういうでしょうか」
「言葉通りのです」
私はを乗りし、佐伯の曇った瞳をまっすぐに見据えた。
「あなたは拓也さんを裏切った。会社を潰し、親友を絶望に突き落とした。その罪悪は、拓也さんがきている、度も清算されることはなかった。……そして拓也さんは、あなたに何も言わせないまま、突然んでしまった」
佐伯の呼吸が、微かに乱れた。
「あなたは拓也さんに謝りたかったんじゃないですか。許してほしかったんじゃないですか。でも、もう本はいない。だから……拓也さんが番していた悠斗に優しくすることで、自分が許された気になりたいだけなんじゃないですか?」
胸を抉るような問いかけだった。
佐伯の顔から血の気がサーッと引いていく。
唇が震え、鏡の奥の瞳が激しく揺れていた。
「悠斗を、拓也さんへの贖罪の具にしていませんか」
内に流れるジャズの旋律だけが、残酷なほど滑らかに響いていた。
い沈黙のあと、佐伯は両で顔を覆った。
く、いため息が、その指の隙から漏れた。
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「……否定、できません」
掠れた、今にも崩れそうな声だった。
「悠斗に会いたかったのは……嘘じゃありません。あの子が健やかに育ってくれているか、それだけが私のの、唯のだった。でも……美さんの仰る通りです。私は、悠斗のに拓也の面を探していました」
佐伯は顔をげた。その目元には、赤く滲んだ涙が溜まっていた。
「拓也に『すまなかった』と度も言えなかった悔を、あの子に親切にすることで誤魔化そうとしていた。……けない男です。拓也が私を軽蔑したのも、当然だ」
「佐伯さん」
私は静かに言った。
「法には来ないでください。これは拓也と、拓也の母親に対する、私の守るべき筋です。でも……法が終わったら、悠斗をあなたのところへ連れていきます」
佐伯が弾かれたように顔をげた。
「え……?」
「こそこそ隠れて会うのは、もう終わりにしましょう。母親の私が、正式に悠斗を連れてきます。そのに……あなた自ので、悠斗に本当のことを話してください。の勝な言い訳ではなく、事実を」
私は伝票を取り、席をった。
振り返ることなくをると、の空気はすっかり夜のたさを帯びていた。