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"夫の葬儀で別の男を父と呼んだ息子" 第6話

引きしのガラケー

自宅に戻ると、玄関には悠斗のスニーカーが無造作に脱ぎ捨てられていた。

居に入ると、テレビもつけずに、悠斗がダイニングテーブルで宿題の漢字ドリルをいていた。

私の音に気づくと、悠斗はびくりと背を張らせ、鉛を握るを止めた。

私は息を吸い込み、悠斗の隣の子を引いた。

「悠斗」

「……お母さん」

「佐伯さんに会ってきたわ」

悠斗の目がきく見かれた。

揺と、母親が自分のらないところで誠に接触したことに対する警戒が、骨に顔にる。

「あの携帯、しなさい」

「……嫌だ」

「しなさい。もう話はついたの。あのおじさんも、度と連絡しないと約束したわ」

「嘘だ!」

悠斗がちがった。子がガタリときな音をてて倒れそうになる。

「誠おじさんがそんなこと言うはずない! お母さんが脅したんだろ!」

「脅してなんかないわ! あのおじさんが自分で認めたのよ!」

私もわずちがり、息子の肩を掴もうとしたが、悠斗はそれを激しく払いのけた。

払われた私のが、空を切る。

「あのおじさんはね、お父さんの会社のおを盗んで、会社を潰したのよ!」

にしてはいけない言葉だったかもしれない。

だが、現実を突きつけなければ、この子は目を覚まさないとった。

「お父さんがどれだけ苦しんだか、あなたには分からないでしょう! あのおじさんのせいで、お父さんは何千万円もの借を背負わされそうになって、必で働いて、体を壊して……! 拓也さんが『度と会うな』って言ったのは、当たりなの! 悪いのはあのおじさんなのよ!」

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悠斗の呼吸が荒くなった。

胸がきくし、肩が震えている。

私は悠斗の部へに向かい、ベッドの枕のを探った。

そこにあった。

さな、黒い旧式の端末。充器に繋がれたまま、ひっそりと隠されていた。

私がそれを握りしめてリビングに戻ると、悠斗は仁王ちになって私を睨みつけていた。

その目から、粒の涙がぼろぼろとこぼれ落ちていた。

「返しなよ……それ、僕のだよ……」

「これは没収します。解約して、処分するわ」

「返せよ!」

悠斗が突してきた。私の腕にびつき、携帯話を奪い取ろうとする。

歳の力は、像以にかった。

腕を引っ掻かれ、痛みに顔をしかめながらも、私は携帯を背のろへ隠した。

「悠斗、いい加減にしなさい! 同士の喧嘩じゃないの、犯罪なのよ! あんなと関わっちゃ駄目!」

そのだった。

悠斗がきを止め、泣き叫んだ。

それは、これまで聞いたこともないような、胸の底から絞りされた絶叫だった。

「が喧嘩したからって、どうして僕が、あのが最初からいなかったみたいにしなきゃいけないんだよ!」

内の空気が、凍りついた。

悠斗は涙とでぐちゃぐちゃになった顔を歪ませ、私の胸ぐらに掴みかかるような勢いで叫び続けた。

「お父さんと誠おじさんが仲悪くなったのは、の勝だろ! 僕が自転乗れるようになった、ろ押してくれたのは誠おじさんだった! 僕が幼稚園でした、迎えに来てくれたのも誠おじさんだった! お父さんは仕事でいなかったじゃないか! お母さんだって、夜遅くまで帰ってこなかったじゃないか!」

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臓を、鋭利な刃物で突きにされたような衝撃だった。

「どうして……どうして僕が、全部忘れなきゃいけないの? お父さんがったからって、僕のいまで全部なかったことにしろって言うの?! そんなの……そんなのあんまりだよ!」

悠斗はテーブルのの漢字ドリルを薙ぎ払うようにへ叩き落とすと、自分の部へとりった。

バタン、と乱暴にドアが閉まり、内側から鍵のかかるたい音が響いた。

静まり返ったリビングに、散らばったプリントと鉛。

私ののには、みを失った古い携帯話だけが残されていた。

息子の言葉が、ので何度も、何度も霊していた。

『僕のいまで全部なかったことにしろって言うの?』

私はダイニングのにへたり込み、両で顔を覆った。

正論を振りかざして息子を追い詰めたのは、私の方だったのではないか。

その疑が、黒いインクのようにのに広がっていった。

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