"夫の葬儀で別の男を父と呼んだ息子" 第2話
言えない約束
斎での騒をどうやって取り繕ったのか、ほとんど記憶にない。
「転しているんです。父親が急にいなくなって、混乱してしまって……」
参列者ひとりにそうをげて回り、たい線から悠斗を庇うようにして連れ帰った。
義母は帰り際、鬼のような形相で私に言った。
「あの子に余計なことを聞くんじゃないわよ。今はもう寝かせなさい」
だが、そんなことができるはずがなかった。
夜のを回った自宅のリビングは、気が悪いほど静まり返っていた。
いつもならテレビからバラエティ番組の音が流れ、拓也が呂がりにビールをけているだ。
リビングの隅には、拓也の遺が飾られている。
その笑顔を見げるたびに、胸を刺すような疑問が湧きがってきた。
私はダイニングチェアに座り、向かいの席に悠斗を座らせた。
悠斗は黒いズボンの膝を握りしめ、ずっとうつむいている。
赤く腫れた目は、度も私とわない。
「悠斗」
できるだけ声を荒らげないよう、努めて静かに呼びかけた。
「あのおじさんは、誰?」
悠斗の肩がびくりとねた。だが、はかない。
「お願いだから教えて。ママ、怖いのよ。あなたがらないのことを『お父さん』なんて呼んで……どうしてあんなこと言ったの?」
沈黙だけが部を支配した。
柱計のカチコチという音だけが、やけにきく響く。
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悠斗は今で学になる。
反抗期に差し掛かってはいたが、学での来事や友達の話は、毎楽しそうに話してくれる素直な子だったはずだ。
私は息子のすべてをっているとっていた。
何が好きで、何が嫌いで、何に怯えているのか。母親として、誰よりも理解していると信じて疑わなかった。
だが、昼の息子の姿は、私のらない「別の」だった。
「悠斗、答えなさい。いつからあのをってるの?」
し語気をめると、悠斗のが刻みに震え始めた。
爪がくなるほど、ズボンの布をく握りしめている。
「……言えない」
絞りすような、掠れた声だった。
「どうして言えないの? ママには言えないようななの?」
「言っちゃ駄目なんだ……」
「誰に言っちゃ駄目って言われたの? あのおじさん?」
「違う!」
悠斗が突然、顔をねげた。
その瞳には、恐怖と、母親に対する激しい警戒が宿っていた。
歳の息子が、実の母親に向けていい目ではなかった。
「お父さんだよ!」
悠斗の叫び声が、狭いリビングに霊した。
「お父さんが……んだお父さんが、言ったんだ。『あいつのことは、お母さんには絶対に言うな』って! 『もし言ったら、族がめちゃくちゃになる』って、お父さんが僕と約束したんだよ!」
息が止まりそうになった。
んだ拓也が?
悠斗に、私に隠れて止めをしていた?
「嘘……でしょ?」
「嘘じゃない! だから言えない! 言ったらお父さんとの約束を破ることになる……!」
悠斗は両で顔を覆い、再び激しく泣き崩れた。
子からずり落ち、に丸まって震えている息子を、私は抱きしめることさえできなかった。
のを駆け巡ったのは、しみではなく、底えするような信だった。
拓也は、私に隠れて何をしていたのか。
息子とで、私を仲れにして、体どんな関係を維持していたというのか。
「族がめちゃくちゃになる」とは、どういうなのか。
仏壇の遺ので笑っている拓也の顔が、急に見らぬのようにえて、私は鳥肌がつのを抑えられなかった。